暑気払いでのあいさつ「200名ビールパーティ」

平成28年7月8日
理事長

暑い日が続きます。高齢施設においては入居者の方々が脱水症にならないように、また食欲、体力ともに減少されるので、毎日、気が気ではありませんね。児童施設においても同様です。子どもたちは元気に走り回ります。その分、子どもたちの様子を見て細心の注意を払わねばなりません。夏ならではの気配りをしながら、日々の生活や行事をしっかりとこなしていく皆さんのエネルギーに感心し、いつものニコニコ笑顔に癒される思いです。毎日本当にご苦労様、そしてありがとうございます。

さて6月11日に開催された85周年記念発表会、6月20日の「みやっこまつり」、無事終えることができました。あらためて御礼申し上げます。

皆さんには昨年の12月、来年、平成28年3月1日に法人は創立85年を迎える旨、お伝えしました。するとすぐさま準備委員会が設立され、85周年にふさわしいイベントの企画、プログラムの検討、そして会場や開催日の候補選定、地域や関係団体、保護者に向けての広報、等々について熱心に話し合いが行われました。また子どもたちの参加行事についても、各園において、それぞれ日々のルーティンも異なり、様々な制約もある中で、何ができるか何をするのか、検討会が何度も開かれたと聞きます。

そうした中で、記念発表会の開催は6月11日に、会場には700~800名の収容数をもち、しかも地域の方々をはじめ多くの方々が不便なくお越しいただける場所ということで都島区民センターに決まりました。そしてそこから発表会の詳細な企画や構成を練り、進行スケジュールに沿った各発表プログラムの策定をし、担当園、担当者の決定、各園ではそれを基にプログラム原稿の作成や制作の準備が始まり、各園の連携、合同の演習、リハーサルと着々と準備は進められていきました。また会場では、音響や大道具、受け付け、来場者のスムースな誘導や安全管理など担当を決め、全体予算の設定、地域や関係団体、保護者への広報、案内状や記念品・・・、本当に何から何まで微に入り細に入り、皆さんが自らの役割をきちんと理解し、一つひとつの役割を丁寧に成し遂げた事、本当に立派でした。あらためて都島友の会の結束力は大したものだ!と思いました。大勢の方からもお褒めの言葉を数多く頂戴しました。

「みやっこまつり」(子どもたちのふれあい動物園)も同様です。場所の選定から始まり、何度も業者の方との折衝や打ち合わせをし、会場を都島中央グランドに決定した後、テント、トイレ、給水等々の会場設営、安全管理や食事、子どもたちの園からの移動手段や遊び時間の配分、保護者への案内、細かく計画されていました。特に「みやっこまつり」は屋外でのイベント、天候に左右されるため、6月7日予定、6月20日を予備日として予約しておいたものの、担当者は当日まで天候がどうなるのか気が気ではない状態が続きました。結局6月7日は雨で見送りましたが、6月20日に無事に行うことが出来ました。通常でも4月、5月は様々な行事があり、皆さんには大変な中、85周年記念事業のイベントが加わり、ご苦労を掛けて申し訳なかったです。おかげさまで6月11日の記念発表会では、来賓、保護者の方々、子どもたち、職員、合計1000名近くの人々が集う、盛大な場となりました。20日の「みやっこまつり」では、当法人の園児900名、他の園から120名の子どもたち、子育てサロン、地域の方々が150名、職員150名 全部で1300~1400名の参加となり、大変な盛況ぶりでした。本当にご苦労様でした。

「発表会」、「みやっこまつり」での子どもたちの躍動する姿、職員の真摯な取組の姿、これらの様子は、『ゆんたく都島85周年記念特別号』で紹介します。7月15日頃には参加してくださった方々や関係者の皆様にも発送し、ご覧いただけると思います。皆さんのお手元に渡りましたら、ご自分の姿も含め、職員や子どもたちの楽しそうな姿、活躍ぶり、ゆっくり振り返っていただけると思います。

さて平成28年度、前半の大きな行事が終わったところで、これから後半に向かっていきます。

先日、都島東保育園、発達支援センターそれいゆ、ひまわりの郷の南側にある大阪市の所有する更地を、坪180万円近くという高値で、㈱プレサンスコーポレーションという企業が買い上げ、15階建マンション2棟を建設するとの説明がありました。

特別養護老人ホームひまわりの郷は、入居者の方々に“第二の我が家”としてやすらいだ暮らしを送っていただけるよう、努力を重ねてまいりました。また、発達支援センターそれいゆでは支援を必要とする子どもたちの療育を日々行っています。都島東保育園では0歳児から就学までの成長期の子どもたちが朝の7時から夜の7時まで、毎日元気に健やかに過ごしています。それが、この度のマンションの建設によって、建設による20か月以上の期間、この3施設、子どもたちも高齢者の方々も、安全、騒音の問題をはじめ、大きく環境が変わってしまいます。もちろん建設後に至っても日照の確保、プライバシーの問題、等々、様々な問題が起こりえます。そうした中で、先方業者は、ここ5~6年、マンション建設でいかに業績を上げてきたかとそればかり豪語し、法律に違反していないと一方的に説明が行われ、周辺環境への配慮の言葉もなく、十分に話合いも出来ないまま、強行突破されようとしている現状、話し合っても気分が悪くなります。私たちに今後いったい何ができるか、どこまで出来るかわかりませんが、地域の皆さん共々協力をし、地域や子どもたち、高齢者の方々の環境を守るべく、粘り強く努力と折衝を重ねていきたいと思っています。

環境と申せば、今申し上げた『ひまわりの郷』も開設以来14年が経過し、空調設備のトラブルの発生等、故障が続いており、大規模修繕が必要になってきました。さらに特別浴槽やボイラー等の取替も必要な時期になりました。また『友渕デイサービス』につきましても、開設から15年経ち、皆さん大切に使用してくださっているのですが、利用者の皆さんがもっと快適にもっと楽しんでいただけるスペースとなるように、備品、設備など内部リフォームを計画しております。

都島区内の高齢者施設は、経営母体、施設のスタイル、多種多様に増えています。これまで当法人の施設は長年、地域の人々から愛され、愛着や親しみをもって利用していただいておりますが、それに甘えず、老朽化したところは直し、快適にお過ごしいただけるよう、改善していかねばなりません。

また児童施設についても、都島区内では発達支援センター、小規模保育園の施設は増えてはいますが、やはり当法人の発達支援センターや認定こども園、保育園に申し込まれる方が圧倒的に多く、私たちの施設がいっぱいとはいえ、他のよく分からない施設を紹介する事もできず、ここは何としてでも地域の皆さまのニーズにお応えすべく、発達支援センターそれいゆの事業の拡大、桜宮保育園の分園など、今年の後半には計画中の案件もあり、乗り越えていかねばならない幾つかの問題もありますが、何とか大阪市(行政)と話し合い、進めていくつもりです。

さて私たちにとって年度の後半といえば、来月8月から、9月、10月、11月と保護者の皆さんの見学、就職希望の学生や実習生の皆さん、さらには小中学校の児童の体験実習と、外部からいろんな方が大勢来られます。さまざまな方が、様々な角度から、様々な思いで、私たちのいろんな面を見て聞いて、判断や感想をお持ちになると思います。子どもたちにとって、高齢の皆さんにとって、そして自分が働く場所として、ここはふさわしいところかナァ、ここだったら良いかナァと考え選択されていくのだと思います。今現在、法人の職員としてここにおられる皆さんも、最初はそのようにして、自らの目で耳で、自らの基準で、都島友の会を判断されたのではないでしょうか。皆さんが最初に見学し、見て聞いて感じた善いところ悪いところはどこだったでしょう、何だったでしょう? あるいは本当に知りたかった事とは何だったでしょうか?

最初に訪れ見学した時、皆さんを案内し、説明してくれた職員たちの印象(親切、丁寧、優しく)が、その時の大きな印象となり、法人や施設全体を判断する、案外大きな決め手になったのではないですか? 出会いの第一印象って本当に大切ですよね、脳裡から離れませんね(アッ あそこね…)。一度、ご自分で法人と自らの出会いを振り返り、これから法人に来られる皆さんをどのようにお出迎えすればよいか、皆さんでよく話合ってみてください。きっと皆さんの心のうちにおのずからよい答えが見つかると思います。

話がどんどん長くなってしまいました。最後に健康には充分に気をつけて下さい。何があっても健康第一です。ここ数年、これだけ大勢の皆さんがおられる中、一人二人と入院、手術が続いていましたが、幸いにも皆さんが元気で回復されている事で安堵していました。でも人間の体、いつ何が起きるかわかりません。新年度に入りこれからという時、施設長、病気療養の為、退職の申出があり、この度8月1日付で管理職異動を発令する事となりました。急遽、保育施設から高齢施設へ異動し、保育の副園長2名の内1名が昇格、1名が異動となります。先程1時間前に理事・評議員会で承認をいただきました。

突然の事で、私も大変戸惑っていますが、法人の人材の豊富さ優秀さに助けられ、何とか乗り切る事ができると思います。あらためて皆さんを誇りに思います。

一人一人健康管理に気をつけましょう。一人一人が健康であってほしい、私も7月12日、人間ドックに入ってきますが、今日は無礼講という事で、食べて、飲んで、リフレッシュし、また明日への鋭気を養い大いに楽しみましょう。長い時間、ありがとうございました。

会場の雰囲気
舞台

辞令交付にあたって

皆さま、おはようございます。

平成28年度、昇格者及び人事異動者、ならびに新規採用の皆さんへ、ただいま辞令を交付しました。今年度も新しい職員の皆さまを多数、お迎えする事ができまして大変うれしく思います。都島友の会を代表し、一言ご挨拶させて頂きます。

本年、平成28年は法人の創設85周年を迎える1年となります。創立記念日である3月1日には各園、各施設、記念のお祝いメニューの食事が出されました。6月には「創立85周年記念発表会」が開催されるほか、今年1年、様々な記念行事や講演、研究発表会などが催されると思います。詳細な内容については、この後、研修会で桜宮保育園の松島園長からお話があると思いますので、この場ではその意義づけについて少しお話ししたいと思います。

平成27年4月1日より、都島友の会では、都島児童センター、友渕児童センター、そして成育児童センターが「幼保連携型認定こども園」としてスタートし、今年は2年目を迎えます。各園が幼保連携型認定こども園としてどのような1年を過ごしたのか、そしてどのような取り組みを行って来たかについては、法人の広報誌「ゆんたく都島Vol.24」に、それぞれの園から立派な報告がなされています。各園の特色やカラー、職員の取り組み方の個性がよく出ているレポートだと思いました。またそれと共に法人としての一貫した教育・保育、その理念や目標とすべき姿もよく踏まえられ、皆さんがこの一年、職員全員でよく話し合われ、これまでの活動や保育内容、子どもたち一人ひとりの何を育みたいかなど、本当によく勉強されたことが如実に分かってうれしく思いました。

もちろん言うまでもないことですが、昨年4月に認定こども園に移行しなかった他の保育園においても、子どもたち一人ひとりの育ち、「知・徳・体」三位一体となった保育活動の視点(ねらい)や教育的意図、具体例をあげれば一人ひとりの発育の確認、チェックリスト、乳児保育からの一貫性、そして地域との密接なつながり、そのような私たち法人独自のあり方、その真なるところはみな一緒です。「ゆんたく」にあった認定こども園各園のレポートもそれぞれ表現こそ違え、いわば友の会の原点、その振り返りは同じだったように私には思えました。

ところで「ゆんたく都島Vol.24」では、フィンランドの「ネウボラ」と呼ばれる子育て支援制度のことが紹介されていました。ひまわりネットの岡本先生が書いておられます。興味のある方はあとで読んで、またご自分でいろいろ調べてみてください。

「ネウボラ」とはフィンランドの言葉で「アドバイスを受ける場所」という意味だそうで、妊娠期から就学前まで長期にわたって、子どもの健やかな成長・発達の支援はもちろん、母親、父親、兄弟、家族全体を、医療や福祉など幅広い範囲にわたって、長期に切れ目なく支援し続ける制度だそうです。フィンランドのみならず北欧などでは、“子どもは社会の公共財(Public goods)”と考えられ、子どもの健全な成長を支える保育は子どもの権利保障であり、乳幼児期からの手厚いケアと教育が大事であり、また子どもの学ぶ権利は乳幼児期から保障されなければならないとの考え方が一般の人々にまで深く浸透していると言われています。「社会の公共財」とは難しい言葉ですね、私なら、“子どもは社会の宝物” と言い換えてみます。北欧やフィンランドでは、社会がそして地域が、子どもを自分たちの宝物と考えている…、だからこそ、母や子だけでなく、家族全体を支えるこのような公的な支援サービスが社会として定着しているのだと思います。私は読んでそのように思いました。

人は生れ育ち、やがて老いていくその営みの中、長い人生の中でさまざまな悩みや苦しみをもち生きていきます。その中で誰かに何かを聞いてほしい、相談したい、公的な援助とともに、家族以外の何らかの、助言・支援が必要である…。もしかすれば、人は生きる上で、公的な援助に頼ることよりも、そのようなまさに制度の狭間にある様々な問題に関して、垣根を低く、気軽に、相談や助言、支援を求めることの方が多いのではないでしょうか。むしろ人々はそのような場所を求めているのではないかと思います。私たち法人には比嘉正子地域貢献事業研修センターというものがあります。フィンランドの「ネウボラ」ではありませんが、比嘉正子地域貢献事業研修センターは、妊娠、出産から子育て、そして介護まで、あらゆる悩みや苦しみを、今後も切れ目なくワンストップで助言支援ができる地域支援、家族支援を目指したいと考えています。

さてこの3月末で都島東保育園、都島こども園の建物を大阪市から移管、有償譲渡されることになりました。昭和51年の建造ですからもう40年が経過しています。先生方が大切に子ども達の環境を整えてくださり、今日までもっていますが、さすがに建物は老朽化してまいりました。国や大阪府、大阪市の補助がつくようになりましたら、建て替えを考えておりますので、今しばらく先生方には頑張っていただきたいと思います。

なかでも都島こども園は建物の移管のみならず、大阪市の指定管理からはずれ、平成28年度からは法人独自の事業が出来るようになりました。名称も都島こども園から、「こども発達サポートステーションそれいゆ」と変更し、新たな出発をすることになります。「こども発達サポートステーションそれいゆ」、少し長いです。“サポートステーションそれいゆ”と呼んでいただいてもよいかと思いますが、“サポートステーションそれいゆ”では、通園事業、相談支援事業、保育所等訪問支援事業の他に、大阪市障がい児等療育支援事業を取得し、地域の子どもたちがイキイキとより適した環境の中で安心して過ごすことができるよう、より積極的に地域に出向き、活動を広げていくことになります。

私たち法人の保育・教育、療育、その歴史に深くかかわっていると云えば、都島児童館があります。日本の戦後のまだ貧しかった、親が子どもを預けて働かないと生きていけなかった時代、子ども達を預かり手を差しのべたのが法人の創設者比嘉正子先生でした。現在70才以上になられる方から、「都島児童館があったから、私は救われた。本もあった、おやつもあった、勉強もできた。ソロバンも絵も、習字も習えた…」そう言って頂いています。その歴史を引き継いだのが都島児童館です。児童館には、教育クラブと生活クラブがあり、教育クラブ、ここはピアノ、習字、モダンバレーなど、都島児童センターの4歳児・5歳児から、小学生、中学生が通い、習っています。他の園もスペースを確保できれば、是非ともこの教育クラブを広げようと思っています。また放課後、小学生たちが安心安全な生活の場として過ごす生活クラブは、都島1組、2組、高倉、中野、友渕の5カ所あり、友の会の各園を卒園していった子ども達が放課後、元気に通っています。

認定こども園や保育園、児童館など、法人の児童施設や保育教育、療育のことをお話してきました。私は法人の話をするときに、ともすればこういった児童施設の話に終始してしまいがちなのですが、法人にはもう一つの大きな柱、高齢者施設があります。

「特別養護老人ホームひまわりの郷」、ここは15年を迎えました、現在80名の入居者とショートステイを利用されている方々がいらっしゃいます。「友渕地域在宅サービスステーションひまわり」、ここは通所介護施設です。デイサービスや居宅介護支援、さらに総合相談窓口を設けています。さらに「ひまわりⅡ」という在宅高齢者をはじめ社会生活上のあらゆる相談を受け付ける窓口を設けています。

人口減少社会、超高齢化を迎えているこの時代にあって、私的には今年は特に高齢者福祉に目を向け、各施設においても今一度見直すべきものを見直していきたいと思っています。法人の高齢者施設に入所されている方も年々介護度が上がり、スタッフの皆さんのケアにもいっそうの工夫が必要となっています。また開設当時最新設備であったものも老朽化してきます。スタッフの皆さんがいくら丁寧な介護を願って頑張ってもさまざまな要因で限りがあります。私たちが目標とすべき介護、それに沿った設備の更新、介護ケアの内容の見直しをする大切な時期に来ていると思っています。

スタッフ皆さんのお知恵やご意見をお聞きしながら、あるべき介護、目標とすべき支援に向けて、一緒に見直していきましょう。

私たちの法人の福祉事業の目標は“ゆりかごから墓場まで”です。人の誕生から生涯にわたる期間、社会福祉活動を通じて関わり、法人の福祉理念である、「すべての人が健康で文化的かつ快適な生活が守られ、豊かな人間生活が実現できることを内包するものでなければならない」との理念実現に向けて、法人全体で取り組んで行かねばなりません。そのためにはもちろん皆さん一人ひとりのスキルアップが大切です。そして法人の歴史、理念、そして諸先輩が成し遂げてきた活動内容を今一度再確認していただきたいのです。私たちが地域に根差した社会福祉法人として、各園、各施設、職員一人ひとりが、社会や地域から、利用者の方々、保護者、子どもたちから、何を求められているのか、もう一度深く再確認いたしましょう。どうすればいっそうの信頼や期待にお応えできるのか、各園・各施設で勉強会や研修をもち、話し合っていきましょう。

保育士や介護士不足からくる待機児童や介護を取り巻く様々な難題など、現在国を挙げて取り組まねばならない種々の問題についても、国だけに頼るのでなく私たち法人としてできることから取り組んでまいりましょう。もちろん皆さんの給与や処遇に関しても全力を挙げて頑張ってまいります。

今年度は今までにもまして実践研修や外部から講師を招いた講演会・研修会を積極的に行い、また地域の人々との交流や地域の各福祉施設との連携を図っていきたいと考えています。地域や人々と共につながり、次世代を育むことのできる安心できる地域づくりに向けて、地域の皆さんから「都島友の会があって良かった!」と心から思って頂ける法人をめざしていきましょう。

話が大変長くなりましたが、創立85周年を迎えるにあたり、法人としての想いをお話しさせて頂きました。この続きは各園へ寄せて頂きお話をさせていただきたいと思います。長時間、ありがとうございました。

理事長の挨拶

辞令交付式にあたって

平成27年3月28日(土)

皆さんおはようございます。

平成27年度、昇格者及び人事異動者、ならびに新規採用の皆さんへ、ただいま辞令を交付しました。

今年度も多数の新しい職員を迎える事ができまして、大変うれしく思います。都島友の会を代表し、一言ご挨拶させて頂きます。

4月1日付をもって人事異動の発令をさせて頂きました職員の皆さん、私にとっては毎年のことなのですが、「ああでもない、こうでもない…」と皆さんの適材適所を考え、自分なりに考えられるだけ考えて、今回も最強の人事をいたしました。

今年度は認定こども園への移行に伴って、施設長から園長へ、主任から副園長へ、保育士から保育教諭へと職名が変わられた方が数多くおられます。また施設長に昇格された方、主任に昇格された方、法人内異動をされた皆さん、いずれの方もご自分の持っておられる力を充分に発揮し、心新たに、新しい場所、新たな職務で、責任を持ってお仕事に取り組んで下さい。決められた事だけでなく、そこに必ずプラスアルファ、知恵やアイデア、工夫をプラスして取り組んでいただけたらと思います。皆さんは充分にその能力はおもちです。また各園で新たな職員を迎える先輩の皆さん、後輩は、先輩の姿を見て育ちますので、彼らの模範となるよう、よろしくご指導のほどをお願いいたします。

今年度は、国の「子ども・子育て支援新制度」による「幼保連携型認定こども園」がスタートする大きな節目の年です。当法人でも、都島児童センター、都島友渕保育園、成育保育園が、それぞれ認定こども園都島児童センター、友渕児童センター、成育児童センターとして新たな出発をすることになりました。新制度に変わったと言っても、私たち法人の各園は、子どもたち一人ひとりの成長をしっかりと見つめて、丁寧で質の高い保育や教育を行う、そして地域の保育支援や子育て支援に尽力していく、その姿勢、その原則は何ら変わるところはありません。国の制度、方針よりもむしろ早く、私たちは常に一歩進んだ教育・保育を行ってきたとの、大いなる自負と気概をもって職務に取り組んでまいりましょう、私たち法人はそれに足るだけの実績と歴史を有しているのですから―。

但し、今回の新制度がこれからの日本の福祉、教育にかかわる大きな改革であることには間違いありません。日本の教育のこと、幼児教育の大切さ、これからの福祉、そしてその中での私たちのあり方について、詳しくは各園へ寄せて頂き、先生方とじっくり話し合う時間を持ちたいと思います。

さて、ここでは、ひとまず誰もがすぐにできること、しなければならないことを、一つだけお話したいと思います。どんなに制度が変わろうと私達の職場はお人に関わる仕事です。人との関係は何から始まりますか? 挨拶です。ご挨拶から始まります。皆さん、きちんと挨拶のできない人をどう思われますか? 最初に出会った時、仕事の始まる時、その人、その時の印象や空気はとても大切です。明るく、若々しい、ハキハキとした誠実な挨拶を受ければ、とても心地よい、気持ちの良い空気になりますよね。まずは自らの挨拶をきちんとできるようになることから始めましょう。しっかり、目を見て元気に挨拶です。その日の大きな力になります。

さらに、都島友の会の職員としての身だしなみ、姿勢にも自覚的でありましょう。自らの身だしなみや姿勢が人を不快にしてはいないか・・・。いつも相手の立場を尊重し理解し、誠実に接しているか・・・。学ぶ、気づく、目標を描く、実践する、その一つ一つを丁寧に、限られた時間を意識して、その中で最大限の成果をあげられるようめざして下さい。

この続きは、各園に寄せて頂いた際にお話したいと思います。それまでに職員としての心得は、園長先生を中心に話し合い学び合っておいてください。そしてご自分の役割をしっかり受け止めましょう。

さて話が変わりますが、今年はわが国、日本国にとりましてもとても大きな節目を迎えます。それは戦後70年、太平洋戦争終結、終戦から70年目の記念の年ということで、国内のメディアのみならず、世界からも大変注目をされています。

皆さんにはちょっと想像がつかないと思いますが、日本には一昔前、大変不幸な事がありました。今日も世界では、シリアやイラク、イラン、イスラム国、パレスチナ、そしてイスラエル、さらにはロシアとウクライナ、国同士、人間同士が、宗教の違い、思想の違い、領土の取り合いで戦争を行っています。そこではいつも真っ先に大きな犠牲となるのが、女性や子ども達、年老いた人や障がいを持つ者、力のない弱い人々です。

現在世界で起こっている大きな動乱、戦禍、それ以上のものを日本は経験しました。大戦争を戦い、最後は日本中に大空襲があり、広島、長崎には原爆が投下されました。そして大勢の人々、日本人だけで300万人以上の人が亡くなり、また多くのものを失いました。

ここ、都島においても、昭和20年6月、大空襲で、辺り一面焼け野原になりました。その時の写真はこの児童センター本部の1階から2階の階段に展示してあります。まだ見ておられない方はもちろん、ご覧になられた方も今一度、見直してみてください。大空襲のあった2か月後、昭和20年8月に日本は敗れ戦争は終わりました。

その時私は1歳でしたから全然記憶はありませんが、その後大人からさまざまな話を聞いたり、10歳の頃、「ひろしま」「ながさき」といった映画を観て、原爆の悲惨さ惨たらしさを刻み込まれたり、あるいは新聞やテレビ、本などで見聞きし、それなりに知識はあるものの、なぜ戦争が起きたのか、あの戦争とはいったい何だったのか、今も私の中で確たるものはなく、答えのない大きな疑問としていつまでも心に漂い燻り残り続けています。終戦70年を振り返り、なぜ戦争をしたのか?いったいどういう事が起きたのか? 私より若い人達はもっともっと知らないと思います。私たちが今ここに立っている、このように生きている、そしてこのような職務に就いている、そのことを振り返り、今再び、私たちの拠って立つ場所を確かめる上でも、戦後70年の歴史をしっかりと学び、そして見つめ直しましょう。

私たちの行っている社会福祉事業、日本の社会福祉のきっかけとなるのも、終戦の後、海外から帰ってこられた復員軍人や引揚者の方々、戦争で障がいをもたれた方、遺族の方々、衣食住もなく職もない生活困窮者の人達、あの大戦によるそれら多くの戦争被害者の生命や暮らし、尊厳を守り救うためにはじまったと言っても過言ではないのです。

戦争が終わり新しい憲法ができ、憲法25条には「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と国民の権利と国の義務を明記されても、国土が焦土となっての出発です、なかなか理想どおりにはいきません。しかも戦争による犠牲者の人々は、衣・食・住が全てを失っての出発ですから、すぐさま手を差し延べないと命の問題になります。日本の戦後70年の歩みはそんなところから始まりました。その日本の国の歩みと、私ども都島友の会の歩みを重ねてみましょう。

私たち法人は昭和6年の都島幼稚園から始まりますが、昭和20年3月に閉鎖命令を受け一度は閉じ、園舎もその3か月後、昭和20年6月の大空襲で焼けてしまいました。焼野原になり、行き場が無くなった子ども達。その子ども達を救う法律はまだない、もちろん財源もない。親達も子どもを預けないと働けない。法律がなくても誰かが手を差し延べなければ、子ども達の命が危ない。ここに手を差し延べたのが、比嘉正子先生です。このままだと日本という国が無くなると強く思われたそうです。先生は、戦争のさなかの昭和19年1月、2月と相次いで2人のお子さんを亡くされました。その2人のお子さんのお墓を建てる為、大事にされていたお金をもとに焼野原に園舎を建てて、子ども達を受け入れました。現在の児童センターの正面玄関にあたるところです。園舎を建てるにも材木も何もなく、資材もほしいとなると、モノ不足とインフレでどんどん価格が高くなり、それでもなんとか出来たのは戦前の卒園生や保護者の方々、地域の皆さんが子どもたちを救うため、一緒に手伝って下さったからです。

今も地域の、現在では70才以上になられる方々から、「都島児童館があったから、私は救われたで…冬は掘りごたつもあったナァ、本もあったナァ、おやつもあった、勉強もできた、ソロバンも、絵も、習字も習えたナァ…」「お腹がすいて、すいて、困ったけれど、児童館へ行ったら味噌汁があって、イモが入ってたり、お麩が入っていたり、大根だったり、たいしたものは入っていなかったと思うが美味しかったナ…」と懐かしそうに話されます。

世の中は、復員軍人、引揚者の方々や遺族、生活困窮者を救う為の生活保護法、戦争で親や親族を失った戦争孤児の為の児童福祉法、さらに、戦争によって障害者になられた方々の為に障害福祉法が作られました。これが、皆さんが学校で学ばれた最初の社会福祉3法です。それから福祉6法体制ができ、今では福祉8法になっています。ただどんなに法律ができようと法整備が進もうと、必ず法律ができるまでの隙間というか、制度の中には狭間ができ、その間の落とし子ができてしまいます。人間が「おぎゃー」と生まれ、育ち、ついのすみ家で人生をまっとうするまで、様々な社会保障や福祉制度によって守られてきますが、完璧なものなどはありません。どんな良い制度ができても、制度の狭間、社会の片隅で、さまざまな問題を抱え、悩み、苦しむ人々がいます。あるいは社会の変化によって新たな問題、新たな苦しみをかかえる人々も生まれてきます。現在でもまさにそうです。私たちはそのことにもっともっと敏感で自覚的でありましょう。

私ども法人ではその解決のほんの一助にでもなれたらと、比嘉正子先生が残して下さった比嘉正子記念会館において、地域貢献や地域の方々の学び合い、研修ができるように「ひまわりネット」を立ち上げ、人々の「心の居場所づくり」をしております。

福祉の原点は今も昔も変わらないですネ。子どもも大人も一人でも多くの人が自立でき、健やかに生きていけるように、私たちは視野を広げ、もう少し物事を深く考え、先ほど申し上げたように人の立場を尊重し理解し、そこから陰に隠れて見えない人々に対しても手を差し延べていきましょう。

話が大変長くなりましたが、辞令交付式にあたり、日本の戦後70年と都島友の会の70年の振り返りをお話しさせて頂きました。この続きは各園へ寄せて頂きお話をさせていただきたいと思います。長時間、ありがとうございました。

新年のあいさつ

平成27年1月6日

新年あけましておめでとうございます。

この年末年始にかけてインフルエンザが猛威をふるい、救急を要する休日診療や特定病院では2時間、3時間待ちの状況とのことでしたが、皆さん、いかがでしたでしょうか。とにもかくにも皆様方にはつつがなく無事新年を迎えられたこと、心よりお喜び申し上げます。

さて昨年の日本は、集中豪雨によるがけ崩れ、季節はずれの台風、竜巻、高潮、各地に起こった強い地震、小笠原諸島の噴火による島の拡大、御嶽山噴火、阿蘇山をはじめ全国の火山が活発化など、異常気象や災害が続き、大勢の方々が犠牲になられたという不幸な出来事もありました。さらに年末年始のこの大雪も大変でした。何やら人間の力では如何ともし難い大自然の力を、あの東北の大震災のあと、再度まざまざと思い知らされた一年であったような気も致します。

しかし、そのような大変な中にも明るいニュースも数多く、特に若者達の頑張りが目を引きました。テニスの錦織圭(にしこりけい)くん、フィギュアスケートの羽生結弦(はにゅうゆづる)くん、スキージャンプの葛西紀明(かさいのりあき)さん、彼は42才、若者ではなくまさに中年の星、レジェンドでしたね。あと体操や卓球、サッカーなど、スポーツのアスリート達の活躍に胸躍り、元気づけられもしました。

国政の方といえば、12月の総選挙で自民党圧勝となり、安倍政権はしばらく安定が続く事でしょう。

世界に視点を移せば、宗教、民族、思想の違いで人間同士の争いが続いています。アメリカでシェールガスの本格稼働が起ころうとする時期、現状の世界のエネルギーの大元である原油が突然安く、暴落することも起こっています。石油が安くなると、日本では資源が安く一途きは生活も楽になり、良いことだと思われるかもしれませんが、世界的に豊かだった国が不況に陥ったり、バランスがとれないシーソーゲームが起きてきます。世界的に大きな問題が起き、争いが大きくなりそうです。このままだと人間が、動物たちが、自然全体が大きな渦に巻き込まれ、今迄築き上げ造り上げてきた全てが壊れる国が出てくるかもしれません。何も起きませんようにと、祈るばかりです。

日本も7~80年前、世界を相手に大戦争をするという大きな出来事がありました。映画やテレビ、小説、色々なドラマの中にも描かれていますが、当時の人々の生活は本当に悲惨で、食べ物、衣類、住む所にも事欠く、本当に難民状態だったようです。本部の2Fに上がる階段の壁面に掛けられた焼け野原の都島の写真がその断面をよく伝えています。今日の私たちが想像もできない状況下で人々は生活していたのです。

しかし日本人は本当にすばらしいです。先人たちは廃墟となった中で、つらい事、悲しい事、苦しい事があった中でも、戦後、懸命に頑張ってこられました。誰もが自分の可能性にチャレンジできる、誰もが努力し頑張れば豊かになれる自由で民主的な社会、戦争や禍のない国家の建設を目指して、日本人は先人たちは懸命に走り、頑張ってくださいました。その力があったからこそ今日の私たち、私たちの社会があります。(本当にあらためて感謝申し上げます)。

今年は、終戦70年になります。多くの方々が犠牲になられた中で今日があり、今は何をするにも自由があります。お人を傷つけないよう、プライバシーを守り相手を尊重する事が大切です。確かにどのような時代であっても、全てに満足できる事はなく不満も一杯ありましょうが、しかし現在は本当に恵まれていると思います。

私たち都島友の会も、昭和6年(1931年)にはじまり、戦前、戦中、戦後と、一貫して子どもの育ち、育ちの環境にたずさわり、本年3月1日で、84年目を迎えようとしています。

この友の会の長い歴史、その一部にこうして関わらせて頂いている中で、ふと思うことがあります。振り返る事があります。

現在でも世界中の何処かで、食べ物、住む所、着る物等がない国の子ども達が数多くおります。いや世界的に見れば困窮し、食べ物もない住むところもない、重篤な病に侵されば薬もなく、ただ死を待つばかりの子どもたちの方がはるかに多いのです。皆さんには、想像もつかないでしょう。そしてそのような子どもたちをつくってきた大きな原因は絶えることのない戦争です。地球の何処かで今でも戦争が起きているのです。日本でもかつて70年前に同じようなことがあったのです。戦禍の中で子どもを育てるのに、親達は大変だったのです。そこに手を差し延べてくことが社会福祉の原点があったのです。今年は戦後70年、日本に何があって、何を無くして、何を得たのか、皆で考えてみなくてはなりません。豊かに見えるこの日本にあって社会福祉事業は一見不分明にも見えますが、今、手を差し延べるべきは何かをしっかりと見分けましょう。

昨年は大阪市の定例の監査や第三者評価受審をし、あらためて法人や各園の理念を考える良い機会となりました。まだ3月末までに乳児センターを含む4か園と高齢施設の第三者評価受審が残っています。これは皆さん一人ひとり、ご自分の仕事を、第三者の立場から厳しい目で評価して頂くことになるので大きな振り返りになります。もちろん各園、法人全体として自分たちの仕事が社会的に何を求められ、何をすべきかを再確認できる大きな機会です。この4月からスタートを切る「子どもの子育て新制度」や認定こども園に向かっていく為にも良い振り返りになることと思います。

都島友の会の過去、現在、未来を通して、私自身としても社会福祉事業を管理させていただいている立場として、これで良かったのだろうかという事を再度深く自省し、大きく見直す一助となるものです。皆さんには大変ご苦労をお掛けしますが、ご自分が社会福祉施設に関わるなかで、改めて異なった視点から自らを見直す機会となるものですので、これをチャンスと捉え一緒に頑張りましょう。

少し話が飛びますが、昨年12月4日、突然、下村博文文部科学大臣にお越し頂きました。その際のお話では、これからの10年の間に、日本の教育制度は大きく見直され、その改革はいっそうスピードアップされていくとのことでした。

社会変動に伴った子どもがより良い教育を受けられる環境づくり、豊かになればなるほど親の所得による子どもの格差は深刻になってくる格差問題・・・。さらには少子高齢化社会がもたらす年金医療、介護、子育て・・・、日本の根幹を揺るがす深刻な難問にあって教育制度改革がいかに重大な問題か、解決すべき事の重大さ、日本人として育ってほしい人間性など、下村文科大臣には本当に貴重なお話をして頂きました。今日ここでこれ以上お話はしませんが、後日レポートに起こし研修会をしたいと思います。ぜひ楽しみにしておいて下さい。

また今年度は、昨年に引き続き法人内研修を数多く行い、過去に大いに学び、新しいものを貪欲に吸収し、一人ひとり自らのスキルや知識を高め、職員全体、法人そのものがさらにステップアップできるよう、皆で力を合わせて進めてまいりましょう。そしてその為には昨年も申し上げましたように、まず皆さんが健康で楽しくなければなりません。

いかに楽しく仕事ができるかを考えましょう。今年の私からの課題は働く時間を上手に作って下さいということです。自らの勤務内容をしっかりと考え、8時間内で仕事をおさめてご自分のゆとりの時間を作りましょう。そしてゆとり時間をご自分のために有効に使いましょう。ゆとり時間の有意義な使い方をレポートにまとめ発表しましょう。

最後になりましたが皆さん一人ひとりにとって、実り多き素晴らしい一年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。そして、一層の御支援、御協力をお願いいたしまして新年の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。

暑気払いの集い あいさつ

平成26年7月18日

梅雨も明け本格的な夏の到来です。温暖化の影響でしょうか、近年の日本の夏はとにかく暑い、今年も祇園祭、天神祭、土用が過ぎて、一層暑くなっています。

日々のお仕事、お疲れ様です。いつも申しますが、くれぐれもお体には気をつけて下さい。

今年度は、大変な手術をされた方、精神的なことで体調を崩された方、産休、育休と休暇に入られた方々、さまざまおられましたが、現在は皆さん、元気に復帰されています。(よかった!よかった!)と思っているところへ、当法人の元役員、職員のご家族と、大変お世話になった方々の訃報に接し、驚きや悲しみがありました。全員で、心から哀悼の意を表しましょう。

さて、私の日課は、各園からのメール、そして各園のホームページを見ることから始まります。各園で何があったのか、楽しい事だったり、笑えたり、心配したり、時には「う~ん…」と考え込んだりしてしまいますが、皆さん大変ご苦労されている様子がよくわかります。いろいろな事がありますが、過ぎてしまえば、「あんな事…こんな事…ありましたよネ­ー」と懐かしい思い出となると共に、一つ一つのことが将来へ向けての良い経験になってほしいと願っています。時に難しい事もありましょうが、何事も丁寧に根気よく対応して頂けるとうれしいです。本当にご苦労様ですが、なにとぞよろしくお願いします。

前回も少しお話ししましたが、近年、社会福祉事業に対しての社会の目は厳しく、最近では朝日新聞が社会福祉法人について、一連のシリーズ記事として大きく取り上げました。その記事内容の偏向・偏見はひどいものだと私は思います。しかし社会福祉事業界が今、大きく揺らぎ、激しくうねっていることは事実です。

私たち都島友の会は地域の皆様に支えられて83年、ご一緒に、同じ歩調で歩んでいるつもりでおりましたが、この9月には、都島区内、桜宮高校と「デイサービスゆめ」さんの近くに、定員100名もの高齢者施設ができるそうです。定員100名という事は、登録者は200~300名という事になるでしょう。その施設では食事もバイキング方式で、夜遅くまで利用でき、もちろん年中無休、さらに要支援の方々が働けたり、さまざまに工夫がなされるようです。またサービス内容も多彩に豊かに取り揃えられているとか…、オープン前から早くもいろんな声が聞こえてきます。

さらに、私たち法人の「友渕地域デイサービスひまわり」の東隣にあるスーパージャパンの南駐車場には、旭区の法人「ゆう&あい」さんが有料老人ホームを建設中です。これは土地、建物を賃借し、それを入所者利用料に上手に含み入れるなど、経営としてなかなかしたたかにしっかりと考えられたものらしいです。このように他の法人や施設がどんどん新しい企画や旺盛な事業欲で、私たちに近づいてきています。

保育界におきましても、大阪市はもとより、都島区内におきましてもどんどん新たな流れが生じ、変化の兆しが起こっています。時代の趨勢なのでしょうか。

都島区内で、次々と株式会社の保育園が参入してきました。

  • 「アスクうちんだい保育園」。都島区内代町1-48-1(地下鉄谷町線 野江内代)定員70名の保育所です。経営母体は日本保育サービス㈱。全国で保育所を200ケ園を所有しています。東京23区だけでも60ケ園を所有・運営している企業です。
  • 「トレッジャーキッズともぶち」。都島区友渕町、磯じまん㈱西側に出来ます。定員80名。経営は㈱セリオ。人材派遣事業から保育事業、学童事業を手がけています。
  • 「ぜんげんじさくらさく保育園」。都島区善源寺、定員70名です。経営母体は、㈱ブロッサム。保育園開業コンサルティングや保育業界参入企業に向けての相談事業などもしています。大阪市、豊中市、東京に計9ケ園を経営しています。
  • 都島区中野町5丁目に小規模保育園。定員19名。経営は、ローバルビシッジ㈱。生野区巽3丁目にも保育所を所有、経営しています。

社会福祉法人でも、治栄会(からまつ苑)さんが都島北通2丁目に定員80名の保育園を、同じ都島北通2丁目には大阪婦人ホーム(コロバ保育園)さんが小規模保育園、定員19名を予定されています。

「企業(株式会社)は営利。赤字を出してまで続けませんヨ。すぐに撤退します。」と言われますが、都島に進出してきた株式会社はそんなに甘くはない、なかなかに手ごわいと私は思います。

大阪市は、待機児解消という事で、現在、後先を考えず、どんどん建てている訳ですが、都島区内の待機児については、これまで私たちは大変努力をして来たと自負しておりました。現在も法人各園、建物の許す範囲で最大限入所していただいています。ただ隣接の区(北区、旭区、城東区)から100名近くも入所され、区内の児童が入所できないということになっています。これは都島区役所が入所決定をしてしまうため、都島区内の児童数、他区の児童数の流動性を把握できず、単独でカウントするばかりで、逆に都島区内の児童が他区の保育所に流れている入所数を知らせてくれません。俯瞰的な視点での本当の実態がよく分からない、つかめていないのだと思います。

また新設業者決定については、大阪市役所こども課担当の意見も大きいようです。都島区内に土地を確保したら、簡単に「認可が出される」と囁かれて、都島に設置したと、私自身、ある企業の方から直接話を聞いた事があります。担当者の行き過ぎたスタンドプレーといいますか、いわば個人の思い込み、勘違いから、将来の都島区の保育に大きな禍根を残すことにならないかと怖れます。その時その時の数合わせです。今は大企業跡地に次々とマンションが建っていますが、一方では定員割れの区が出てきています。急激な日本の少子化、その進行のただ中で、バランスシートをしっかり考えた上で、中長期的な視野、オール大阪での待機児解消の方策がほしいと願うばかりです。

さて来年度、平成27年4月より内閣府認定の「認定こども園」が出発です。

政府は、基本指針、基本理念、保育緊急確保事業、対策事業、要綱等を検討し、保育緊急確保事業として各自治体において準備組織を設置し始めました。既存の幼稚園、保育所からの移行については義務づけはしていません。各施設が自主的に考えなさいという事です。大阪市等は、「認定こども園」について、各区役所の担当者がいまだ何をどう始めてよいか、正確には決められず、戸惑っているのが現状です。

しかし大阪市や各区役所の体制がどうであれ、私たちは今も昔も変わることなく、子どもたち一人ひとりの成長をしっかりと見つめ、日々、それぞれの成育に即した丁寧で質の高い保育や教育を行い、法人全体としては、地域の待機児の解消に向けて、あるいは地域の保育支援や子育て支援に尽力することに何の変りもありません。

誇りと矜持をもって申し上げれば、今回の「認定こども園」をはじめ、「子ども、子育て支援新制度」の遥か以前から、私たち都島友の会は“質の高い幼児期の教育や保育の提供”を行ってきましたし、“地域の子ども・子育て支援”に注力し、邁進してきたと自負しています。さらに法人創設者の理念、法人創設の原点そのものが、今回の制度変更の目的や理念に先行したものであることを、私は再度、強く皆さんの胸に留めてほしいと思います。制度や時代の変化などに怖れることなく、むしろ私たち法人が、国や時代をリードしてきたとの自負をもって、様々な問題を一つ一つ真剣に考え、子ども達にとって、人として生きていくためには何が大切であるか、しっかりと考え取り組んでいただきたいと思います。時代の変化や制度の変更、その影響を一番受けるのは何よりも子ども達自身なのですから。今一度、本当に子どもたちにとって私たちは何をなすべきか、皆で考えてみましょう。私たち都島友の会の真の実力が問われていると思います。

私のおしゃべりも時間の都合があるようです。そろそろ予定の時間が来ました。

来年度からの認定こども園については、まだまだ話したりないこともあると思いますので、私が直接各園に出向き、皆さんとひざを突き合わせ、話合いたいと思っています。

今日は、大変暑いです。さあ、しっかり食べて、飲んで、暑気払いを楽しみましょう!

1日のはじまり

今年の1月から、朝約30分間、小学生の登校を見守る「見まもり隊」を引き受け、自宅に近い城東区三丁目の三角公園の前の道に立ち、元気な子どもたちとあいさつを交わしてから出勤する日々を送っています。

必ず規則正しく定時に出てくる子がいれば、いつも遅れてやってくる子や慌てて忘れ物を取りにかえる子もいる。身だしなみがきちっと整った子がいるかと思えば、ボタンが取れていたり、スカートの裾が解れていたり、それがいつまでもたっても直せずにいる。カバンが重くてしんどそうに片側にひしゃいで歩く子がいたり、両手に手荷物をいっぱい持ってモタモタ歩く子もいたり・・・。

年齢のせいか、気になる子どもの姿を追い、「親は気づいているのだろうか? あぁ、早く大きくなって自分のことは自分で何とか出来るようにね・・・」と毎日老婆心の連続です。

春になって、そんなある日、ふと目を遣ると電信柱の支柱の根元、舗装の割れ目からニョキニョキ可愛らしい新芽が顔をのぞかせているではありませんか!

集団で児童たちがやってきます。いまにも踏みつけられそうです。

「あっ・・、あっ・・」と手が出そうになったり声が出そうにもなります。子どもたちといえば、横を向いたり後ろ歩きをしたり、お友だちとの話に夢中だったりはしゃぎ合ったりと、むろん新芽などには目もくれません。雨傘を持った日など、傘をぶらぶらさせていまにも新芽が折れそうなものですが、不思議に踏まれることもなく、子どもたちは近寄りながらも避けるように通り過ぎていってくれるのです。

冷や冷やしているのは私だけなのか? 新芽に向かって「早く大きくなってね」と願うなか、一日一日、みずみずしい透きとおった緑の芽は大きく育っていきます。やがて茎はしなやかに伸び、青々とした葉が繫り、ある日、見まもり隊の相方である奥さんが「昨年も一昨年も可愛い花が咲きましたよ」と教えてくださいました。

4月はまだ寒いのか蕾は出てきません。連休が過ぎ、5月の初旬には背丈は1メートルをゆうに超えました。5月15日、ようやく硬そうな小さな蕾がつきました。その姿は子どもから一人前の少年になったいでたちです。凛々しくすっと立っています。

道往く人も足を止め、頬笑みながら、「根っこはどこから?」と覗き込んでいる人もおられます。

「えらいとこから顔を出して・・・」「踏まれずに、よぉ育ったなぁ・・・」「どんな花が咲くんやろ、楽しみやなぁ」と皆さん感嘆しきり。毎年花が咲いているのを見ているらしき人は、いささか自慢げに「ほんま、可愛いでぇ・・・」とニンマリ。噂によると近隣の少し強面のご主人が毎日水やりをしておられるとのこと。“野に咲く花”といっても心優しくきちんと育ててくださっている方がいらっしゃったのです。

5月20日。ついに蕾がほころび、一輪の小さな花が咲きました。電柱と舗装路の割れ目、いかにも都会の険しく厳しい環境の中からこんなにも美しく可憐な花が咲くなんて・・・。行き交う人、登校する子どもたちの中にだって、きっとこの日を待ち望んでいた気持ちがあったと思います。お世話してくださっているご主人、「今年も綺麗に咲いたなぁー」お顔が嬉しそうにゆるんでいます。

薄いピンク色の、まるでクレープ紙で作ったような、『葩』(はなびら)と漢字で書くと似合いそうな美しい花びらをもったお花です。

毎朝、いつものように集団登校する子ども達も、この花のように、強く逞しく1日1日大きくなって、やがて誰にも負けないそれぞれの美しいお花を咲かせてくださいナ。野に咲く花だって、優しく見つめる人、愛おしむ人、そして人知れずお世話をする人がいるように、あなたたちの背後には、この世界には、数多くの皆さんが、あなたたちを大切に見まもっていますよ。だから不安がらず、心配することなく、すくすくと伸びていってください。

ところで野に咲くお花さん、貴方のお名前は「タチアオイ」さん、それとも「ゼニアオイ」さん?

道ばたに咲く花