令和4年度研修報告
本部事務局長 寄瀬博光

【児童施設】

質の高い教育・保育を目指して
 

児童施設や高齢者施設におけるサービスが年々多様化し、支援のあり方も複雑になってきました。

こうした状況に対応して、都島友の会では研修センターとともに各施設で、職員の資質や技能向上のため、毎年、研修計画たて様々な研修を実施しています。令和4年度の研修内容について報告します。

比嘉正子地域貢献事業研修センターの研修

法人職員の研修施設として、平成25年9月に研修センターを開設しました。研修センターでは、センター研修室だけでなく、各施設でも研修を実施しています。

■アウトリーチ型研修

保健衛生の分野では、法人の看護師チームが講師となり、各児童施設で全職員を対象に、ケガや誤飲の対応、SIDS、熱性けいれん、アレルギー、心肺蘇生などについての研修を実施。研修センターでは、専門講師により、管理職・リーダーを対象に職員の意識改革と人材育成、また新人職員~3年目を対象に保育実践などの講義を実施。延べ465人が受講し、自らの資質向上に向けた取組みを学びました。

■保育士等キャリアアップ研修

子どもや子育てを取巻く環境が変化し、保育教諭・保育士にはより高度な専門性が求められています。スキル向上のため、研修センターでは、大阪府の指定を受け、平成30年度から、保育士等キャリアアップ研修を実施しています。

平成4年度もコロナ禍ではありましたが、乳児保育・幼児保育・障がい児保育・食育・保健衛生・保護者支援及び子育て支援・マネジメントの7分野(1分野15時間)に、充実した講師陣をお迎えして開催。5年目となった令和4年度の研修受講者は、法人職員(100名)だけでなく、外部(62名)からも受講され、分野ごとに計154名が修了されました。

法人内研修 ー 各施設での研修

コロナ禍での採用ということもあり、児童施設では特に新人職員研修を充実しました。各施設では、看護師が中心となり新型コロナウイルス感染症について勉強会を重ね、対策を講じたところです。

保健衛生研修として、アレルギー、エビペンの取扱、AED・心肺蘇生、ケガの応急措置、嘔吐処理、熱中症、熱性けいれんなどについて学ぶとともに、実践・グループ討論を通して理解を深めました。

実技研修では、外部講師が保育士に体育活動での補助方法を指導。また施設のリーダー職員が講師となり、合奏法などの音楽研修、描き方など絵画研修が実施されました。

危機管理として、東日本大震災のDVDを視聴し、災害時に保育士が取るべき行動について共に考えました。この他、事故防止の研修や不法侵入者の対処法などについて、都島警察署防犯研修をお願いしました。

各施設では、自園の保育の質の向上に、令和5年度も研修の充実に努めています。

外部研修の受講

都島友の会では、法人内研修のほか、研修テーマに応じて、大阪府社会福祉協議会保育部会、全国社会福祉法人経営者協議会、日本保育協会大阪支部、日本保育保健協議会など関係団体が主催する研修に、職員を参加させるとともに、他の法人職員との交流を深めています。

大阪府社会福祉協議会保育部会が実施する地域貢献支援員(スマイルサポーター)養成研修には、毎年、各園から職員を参加させた結果、すべての園にスマイルサポーターが配置されています。

【高齢者施設】

利用者に安全・安心の暮らしを提供

特別養護老人ホームひまわりの郷は、常時介護を必要とし、かつ居宅で介護を受けることが困難な高齢者90名が生活されています。

入居者の令和4年度の平均年齢は88・7歳、平均介護度は4・16で、年々高くなってきています。

利用者の皆さんに、日々の「安心・安全の暮らし」を提供していくため、介護職員のスキルアップに努めています。ひまわりの郷では事故防止・入浴・給食・設備衛生・腰痛予防・防災・看取り介護など11の検討委員会、また褥瘡(じゅくそう)・感染症・喀痰吸引等安全・虐待防止・ヒヤリハットなど8の対策委員会を中心に、内部研修を実施し、職員の知識と技術の向上を図っています。

法人内研修 ー 施設での研修

施設では各委員会が担当となり、デイサービスひまわりの職員を含む高齢者施設の全職員を対象に、内部研修を実施しました。研修項目は新型コロナ予防対策と対処方法、ノロウィルスの対応、摂食・嚥下障害の方の食事介助、拘縮の方のオムツ交換、ヒヤリハットから未然防止策の検討、終末期における家族と介護者のケア、入浴時のプライバシー、排せつ介助、不適切なケアとは、褥瘡防止など25項目にわたり、課題解決と自立した職員の育成に努めたところです。

外部研修の受講

令和4年度は、コロナ禍でオンラインなどの研修となりましたが、職種に応じて、大阪市老人福祉施設連盟が主催する認知症ケアなど、外部の研修にも参加し、施設内業務に繋げています。

■介護職員初任者研修 ー 人材確保

ひまわりの郷では、介護職員の自前養成として、令和4年度に介護職員初任者研修を開講しました。6名が修了し、内1名が正規職員としてひまわりの郷に採用。5名は、非常勤職員として勤務しています。

令和5年度は、施設職員の社会福祉士資格取得を促進するため、実務者研修を開催することとしています。

令和4年度~5年度
本部事務局長 寄瀬博光

コロナ禍の中にあって

新型コロナの感染法上の位置付けは、令和5年5月8日に、2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に移行されます。

コロナ禍も3年目に突入した令和4年は、年明け早々から第6波が押寄せ、市中感染や家族感染が急拡大しました。6月になるとやや落着きを見せましたが、7月から第7波、11月からは8波と、新規患者の増減を繰り返しました。このような中、法人の児童・高齢各施設は、保護者・利用者家族のご協力をいただきながら、安全安心の施設運営を行いました。

児童施設の発表会は、オンライン配信やCDで園児の様子をお伝えしてきましたが、令和4年度は、3年ぶりに会場で保護者の皆様にご覧いただくことができ、我が子の成長した姿に感動されていました。卒園式も感染防止のため、クラス毎の開催でしたが、令和5年春の卒園式は、全卒園児と保護者の参加による、厳かで微笑ましい式となり、素晴らしい門出となりました。

令和5年度の保育教育・諸行事は、安全に配慮しながら、徐々にコロナ禍前に戻していくこととしています。家族との面会や、地域の皆さんの憩い・交流の場として設置している特別養護老人ホームひまわりの郷の「カフェテリアひまわり」も、令和5年春から利用を再開します。

都島児童館新建物完成

放課後児童健全育成事業(学童)の再編にあたり、拠点施設となる都島児童館「ぼくらの家北都」が、令和5年2月、幼保連携型認定こども園都島児童センター隣接地に完成しました。鉄骨造3階建で延床面積は214.40㎡。

都島児童館は、平成25年の都島児童センター新園舎の建替に伴い、法人が所有する近隣の福祉ビル内に移転していましたが、約10年ぶりに、発祥の地に戻ることとなりました。

令和5年度、中野生活クラブが新建物内に移転し業務を開始します。友渕生活クラブは、法人の元職員が設立した一般社団法人が運営し、令和5年度は、都島Ⅰ・Ⅱ、高倉、中野の4生活クラブで放課後児童健全育成事業を実施することとしています。

あやなす荘解体撤去・福祉ビル外壁改修

1階が都島乳児保育センター(旧園舎)、2~4階が住宅「あやなす荘」として、令和2年まで使用していた建物(RC構造4階建 延床面積1995.45㎡)の解体撤去工事と、同建物の北側の第二乳児保育センターが入る福祉ビル(RC構造4階建 延床面積2349.65㎡)南面の外壁改修工事の準備を進めていました。

令和4年9月から本格的に工事に着手し、令和5年2月末に完了しました。あやなす荘の跡地利用計画が確定するまでの間、敷地は運動場として利用されます。

空調設備の更新

経年劣化したデイサービスひまわりのガスヒーポンによる空調設備を、一般財団法人環境共創イニシアチブからの「先進的省エネルギー投資促進事業補助金」の交付を受け、令和4年11月に更新。また、都島友渕乳児保育センターでは、令和3年度の3階保育室の機器更新に引続き、令和4年12月、20年近く使用してきた2階の厨房・保育室のガスヒーポンによる空調設備を更新、空調能力を向上させました。

創立90周年感謝の集いを開催

令和3年3月1日、法人創立90周年を迎えた都島友の会は、令和3年秋、令和4年2月に「創立90周年感謝の集い」の開催を準備しましたが、新型コロナウィルス感染症の急拡大により、中止の已む無きに至っていました。100周年に向けスタートした令和4年春の叙勲で、当法人の渡久地理事長が瑞宝双光章を受章しました。理事長の功績とともに、90周年という節目を迎えた法人事業にご評価いただいたものであり、法人にとりまして誠に名誉なことです。改めて皆様方のご指導とご支援に感謝申し上げるため、創立90周年のお祝いと受章のお祝いを兼ね、令和4年7月30日、帝国ホテル大阪で「お祝いと感謝の集い」を開催しました。

7月になり、新型コロナウィルス陽性者が急増する中でありましたが、永年にわたりお世話になっている皆様約150名のご出席をいただきました。式典とともに、DVDで法人施設と各園園児の演舞を紹介。また職員有志により沖縄のエイサー・ダンスを披露しました。

100周年に向け、今後とも都島友の会が、地域の皆様に愛され、必要とされる法人であり続けるため、より一層地域福祉サービスの充実に取組む決意を新たにしました。

介護職員初任者研修

介護職員の人材不足が続いています。特別養護老人ホームひまわりの郷でも、現在、外国籍の介護職員(正規5名・非常勤3名)が勤務しています。今後ますます人材確保が厳しくなることが予測されるため、自前養成として、令和4年秋に、介護職員初任者研修を開講しました。6名が修了し、内1名が正規職員としてひまわりの郷に採用されました。

今後、介護職員初任者研修・実務者研修を3年に1度程度のサイクルで実施し、内部から介護福祉士を作り出す体制をつくることにしています。

人材確保と定着に向けて

保育施設数の増加とともに、コロナ禍の中で養成校学生の就職活動の形態も従来とは異なり、令和4年度の人材確保は困難を極め、令和5年4月には、保育職員12名、介護職員3名の採用となりました。

深刻化する保育士不足に対応し、令和5年度は就職活動中の学生に分かりやすく、気軽にアクセスできるホームページ及びツールを構築。就職フェアの参加及び施設見学会の開催、養成校への訪問、実習生への働きかけなど、積極的なリクルート活動を進めます。併せて中堅職員の定着と離職防止に努めていくこととしています。

さて令和5年度の予算及び事業計画が、令和5年3月に開催された理事会、評議員会で議決され、新年度がスタートしました。

法人本部・各施設では、この事業計画・予算に沿って、地域福祉サービスに取組んでまいります。

令和3年度~4年度
本部事務局長 寄瀬博光

新型コロナウィルス感染症対策

令和3年度は、新型コロナの変異ウィルスによる感染が拡大し、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」が繰り返し発令されました。都島友の会の児童施設・高齢者施設は、保護者や利用者家族のご協力をいただきながら感染拡大防止に努め、安全安心を第一に、施設運営を行ってきました。

児童施設

今号の各施設のページで紹介したように、コロナ禍の中にあっても、各施設は感染対策を十分取りながら、運動会・発表会・卒園式など諸行事を実施しました。日常の教育保育も、どのようにすれば可能なのかなど、縮小あるいは代替行事など工夫をしつつ行ったところです。

特に令和4年新春以降、オミクロン株により市中感染及び家族感染が急拡大し、園児・職員の陽性判明が相次ぎ、一部の園で休園を余儀なくされました。各施設は看護師連絡会と連携し、予防・消毒方法の見直しと徹底を行ったほか、令和4年2月からは陽性者が判明した場合、各園で濃厚接触者の特定のため「疫学調査」を実施しています。

高齢者施設

大阪府下の高齢者入居・通所施設でクラスターが多数発生しました。特別養護老人ホームひまわりの郷では、防止のため、施設内消毒の徹底とともに、入居者・施設従事者のワクチン接種及びPCR検査を実施。また医療崩壊が続く中、陽性者を施設で介護する必要が生じた場合の特別対策(ゾーン分け)などを実施し、令和3年度は幸い1人の陽性者も発生しませんでした。このような中ではありましたが、ひまわりの郷の利用者は、入居・ショート利用をあわせて、年稼働率は97.03%となり、前年に比べ1.63%アップとなりました。

今後、大阪府下の新規患者数・発症率をみながら、家族との面会方法を改善することとしています。 通所施設のデイサービスひまわりは、新型コロナウィルス感染症のため利用自粛も影響し、厳しい経営環境となりました。このため利用実態に合わせ定員の変更、スタッフ人員配置の見直しなど、経営改善に取組んでいます。令和4年度は定員25名とし、スリム化した職員数で運営することとしています。

創立90周年事業

令和3年3月1日、社会福祉法人都島友の会は創立90周年を迎えました。

記念行事として、令和3年秋、4年2月に「創立90周年感謝のつどい」を企画しましたが、新型コロナウィルス感染症の急拡大により中止しました。流行も落ち着いてきましたので、7月に開催することとしています。

記念誌は、創設者の比嘉正子が築いた理念と、当法人の歴史と実績を紹介する都島友の会90年史「つなぎ、つないで90年」及び写真集「あれから10年 つなぎ、つないで80~90年」を刊行、関係者にご覧いただきました。

施設整備

大阪の各施設はこの10年間で、建替新築や大規改修がほぼ完了し、園児・利用者にとって安全安心な建物となり、環境が向上したところです。令和3年度は、沖縄の松島保育園で、経年劣化した外壁・軒裏・格子・手摺などの外部塗装のほか、床張替えなど内部改修工事を実施しました。

また、幼保連携型認定こども園都島児童センターに隣接する土地約97㎡を取得、令和4年度に放課後児童のため、都島児童館の新建物を建設することとしています。

評議員・役員の選任

平成29年4月に就任いただいた評議員の任期満了に伴い、令和3年6月11日に評議員選任・解任員会が開催され、理事会から推薦のあった8氏(再任5氏 新任3氏)が選任されました。なお評議員は計9氏。また、令和3年6月28日開催の評議員会で理事8名(再任7名 新任1名)・監事2名(再任)が選任され、新しい任期がスタートしました。

人材確保と定着に向けて

コロナ禍の中で、養成校の学生はオンライン授業、接触の制限等もあり、就職フェア・見学会などへの参加も少なく、令和3年度の人材確保は困難を極めました。養成校への訪問、法人ホームページへ紹介動画等リクルート情報の掲載、実習生の対応を十分にすることなどを通じて、令和4年4月には保育職員17名、放課後児童支援員1名、介護職員2名を採用しました。令和4年度も引続き、養成校との関係を密にし、積極的なリクルート活動を進めることとしています。

研修も職員の資質向上のため、園内研修の充実とともに、令和4年度も経験年数に応じて、比嘉正子地域貢献事業研修センターで実施する「保育士等キャリアアップ研修」の受講を推奨することとし、中堅職員の定着に努めます。また保育士宿舎借上げ事業は、令和4年度23名が利用しています。

 

さて令和4年3月に、令和4年度予算及び事業計画、また令和4年6月には、令和3年度決算及び事業報告に係る理事会・評議員会が開催され、ご承認いただきました。

都島友の会は、91年目がスタートしましたが、100周年に向けこれからも地域の皆さんのお支えをいただきながら、地域福祉サービスの充実に取り組んでまいります。

令和元年度~令和2年度事業
ゆんたく都島 Vol.32(2020.9)

新型コロナウィルス感染症のため、幼保連携型認定こども園・保育園では、保護者の皆さんに家庭保育の協力を要請するとともに、緊急事態措置が発令後は、保育時間の縮小・特別保育への移行などを行いました。また高齢者施設においても面会制限のほか、できる限りの拡大防止対策に取組みました。

例年3月に令和2年度予算に係る理事会・評議員会、また令和元年度の事業報告と決算に係り、5月に理事会及び6月に定時評議員会を開催しています。厚生労働省福祉基盤課からの「新型コロナウィルス感染症への対応について」の事務連絡を踏まえ、法人としては、今般の理事会・評議員会とも定款に定める「決議の省略」による開催としました。

書面により提案した予算・決算に係る各議案について、理事・評議員全員の同意をいただき承認されましたので、その概要について報告します。

【施設整備】

ひがみや児童センター(都島東保育園名称変更)・こども発達サポートステーションそれいゆの建替新築工事が、令和元年12月21日に竣工し、令和2年1月1日から新園舎で業務を開始しています。

都島乳児保育センター建替新築工事は、令和2年4月30日に竣工し、旧園舎から移転、6月1日から新園舎で保育が始まりました。令和2年度から2歳児を受入れ、認可定員90名(0歳児~2歳児)となり、都島児童センターへ進級します。

都島第二乳児保育センターでは、外壁等の改修工事・玄関前リニューアル工事・保育室等の内部改修工事を実施。令和2年度から0歳児を受入れ、認可定員76名(0歳児~2歳児)となり、来年度からひがみや児童センターに進級することとなりました。

令和3年の法人創立90周年に向けて、平成25年度から順次、児童施設の新築建替と大規模改修等、環境整備を進めてきましたが、一応の完成をみたところです。

令和元年に完了し設置された特別養護老人ホームのひまわりカフェは、入居者や家族の皆さんともに、近隣の皆様の憩いの場・交流の場として利用されています。

令和2年度は、老朽化のため供用休止した賃貸アパートあやなす荘(1階は都島乳児保育センター旧園舎)を解体撤去し、(仮称)あやなすの郷の整備計画を策定・着手していくこととします。

【児童施設】

幼保連携型認定こども園・保育園では、小学校就学までの一貫した質の高い保育・教育を提供しています。英語・音楽・体育・プログラミング等特別活動は専任の講師と連携をとり、日常の保育にも取入れるなど充実を図りました。

令和元年5月に、大津市で散歩中の保育園児16人が死傷した事故を受け、各園では園内外の危険個所の点検と確認を行い、職員が情報を共有し、安全で安心に過ごせる環境づくりに努めています。

新型コロナウィルス感染症ため、各園では保育室及び備品等の消毒を徹底しています。

家庭保育の協力依頼とともに、各園のホームページで「手洗いのうた」「咳エチケットのうた」「ふれあい遊び」「室内あそび」等、職員制作の動画を発信しているところです。

比嘉正子地域貢献事業研修センターでの保育士等キャリアアップ研修には、乳児教育・幼児教育など7分野に延べ199名が受講し、修了者は194名。令和2年度も資質向上に取組むこととしています。

【高齢者施設】  

特養ひまわりの郷(90床)の令和元年度の稼働率は、入居・ショート利用者あわせ96 4%と前年度並みとなっています。平成30年度から取組んでいる看取介護を希望される利用者・家族も徐々に増加してきました。

介護職員の腰痛防止のため、マッスルスーツ(移乗介助)など介護機器の導入や、タブレット導入により介護記録の簡略化を図りました。

ひまわりの郷に隣接する、ひがみや児童センター・こども発達サポートステーションそれいゆが一体となり、園児・利用者の交流とともに、ひまわりカフェを通して地域との交流を促進するなど、公益的な取組みを、より一層進めていくこととしています。

令和2年度からの新規事業として、要介護者や要支援者の自宅を訪問し、身体介助や生活援助を行う訪問介護事業を開始しました。

近年、デイサービス事業は経営環境が厳しい状況が続いています。また新型コロナウィルスのため、外出自粛要請もあり利用者が大幅に減少しました。令和2年度に事業の規模や方向性を検討することとしています。

【人材確保と処遇改善】

保育士・介護職員養成校への訪問、就職フェアへの参加、施設説明会・見学会など積極的なリクルート活動を進めました。令和2年度は新型コロナウィルスのため、説明会・見学会の開催が困難なため、就職活動の皆さんに「都島友の会紹介動画」を、法人ホームページに掲載しています。

人材確保と離職防止のため実施している保育士宿舎借り上げ事業は、現在27名が利用。令和2年4月から月額に支給する処遇改善手当を増額しました。

【withコロナ】

新型コロナウィルス感染症患者が増加する中で、一日も早い治療ワクチンの開発が待たれます。それまでの間、新型コロナウィルスのため、日常生活とともに、法人各施設の事業の運営にも、様々な形で影響がでてくることが予想されます。

令和2年度も法人各施設は、園児・利用者そして職員の安全安心を第一に事業を進めてまいります。

保護者・利用者の家族の皆様方におかれましては、ご理解・ご協力をよろしくお願いします。

平成30年度~平成31年度(令和元年度)事業
ゆんたく都島 Vol.31(2019.9)

法人の議決機関である評議員会が、令和元年6月14日に開催され、平成30年度事業報告と決算が承認されましたので、その概要と、併せて平成31年度(令和元年度)事業の進捗状況について報告します。

【建替・環境整備】

令和3年の法人創立90周年に向け、施設の新築建替と改修等環境整備を進めています。

平成30年度は、都島東保育園・こども発達サポートステーションそれいゆの建替工事に着手しました。鉄筋コンクリート4階建て、延床面積は約2,200平方メートル。令和元年12月には、大きなホールを備えた新園舎が完成する予定です。友渕児童センターでは外壁等の塗装、厨房の全面改修を実施。友渕乳児保育センターは、厨房改修を実施しました。

開設16年の特養ひまわりの郷では、経年劣化した箇所の改善とともに、入居者や家族の皆さんの憩いの場、また地域の皆さんの交流の場として、1階の集会室・テラスを改修し「カフェテリアひまわり」を設置。皆様にご利用いただいています。

平成31年度(令和元年度)は、前年度に取得した用地で、都島乳児保育センターの新築建替工事に着手します。法人では初めての木造の建物で3階建て、延べ床面積は約600平方メートル。定員90名(0~2歳児)で令和2年6月に開設の予定です。都島第二乳児保育センターでも、外壁塗装と窓サッシの改修、玄関をリニューアルします。

【児童施設】

幼保連携型認定こども園・保育園10園の平成30年度の委託児童数は15,178人。沖縄の2園は減少しましたが、大阪は都島桜宮保育園の増築に伴う定員増もあり、前年に比べ224人増となっています。0歳~小学校就学までの一貫した質の高い保育・教育を提供するとともに、全園の年長児に特別活動として、プログラミング活動を実施しました。

また平成30年度は、大阪北部地震、台風21号と災害が相次ぎました。施設の被害復旧とともに、災害時の職員体制、保護者への連絡等、対策対応について再確認、強化したところです。

比嘉正子地域貢献事業研修センターで、乳児保育・幼児教育など7分野で、保育士等のキャリアップ研修が始まりました。他法人の職員を含め7分野で201名が修了。引続き本年度も職員の資質向上に取組んでいきます。

平成31年4月に、都島桜宮保育園が、幼保連携型認定こども園桜宮児童センター(認可定員229名)としてスタートしました。

児童発達支援事業は、こども発達サポートステーションそれいゆの建替に伴い、平成30年9月から仮園舎での事業実施となり、平成31年度に、児童デイサービス事業を再編(都島児童デイサービス・児童デイサービスせいいく)しました。

【高齢者施設】

特養ひまわりの郷の平成30年度の利用者は、入居・ショート計31,740人と前年並みでした。

施設改修により1階に「カフェテリアひまわり」、屋上庭園も新しくなり、入居者が日差しを受け寛いで頂ける場所となりました。

また、介護度が重度化した利用者が、慣れ親しんだ場所であるひまわりの郷で最期を迎えたいという利用者・ご家族のご要望に応えるため、家族控室を設置し、平成30年度から看取介護に取組んでいます。

平成31年度は、新しい「カフェテリアひまわり」を拠点に、地域のみなさんとの繋がりを深めるとともに、入居者の外出の機会や家族との交流の場を設けるなど、入居者サービスの向上に努めることとしています。

また、新たな介護機器・用具を導入し、介護職員の腰痛予防対策にも取組みます。

デイサービスひまわりでも、祝日営業の実施など、利用者の様々なニーズに対応できるようサービス提供に努めることとしています。

【人材確保と処遇改善】

採用事務は、保育士・介護士養成校への訪問、就職フェアへの参加、施設見学会の開催など、引続き積極的なリクルート活動を進めることとしています。処遇改善手当・保育士住宅借上げ事業の実施のほか、平成31年4月に、児童施設職員の給与表を改正しました。

また、結婚出産を控えている職員が働き続けることのできる環境を整えるなど、長く仕事が続けられる職場づくりを進めていきます。

職員の健康管理とともにメンタルヘルスに取組むため、平成31年度から法人看護師による予防相談体制を設置しました。

【創立90周年】

令和3年3月1日に、法人創立90周年を迎えます。このため、本年度は、各園の歩み・教育保育の内容の整理をはじめ、記念事業計画を策定することとしています。

法人役員を選任

平成29年6月16日に選任された法人役員の任期が、令和元年6月14日に満了しました。このため、当日開催された評議員会で選任の決議が行われ、理事8名、監事2名が選任されました。任期は令和3年6月に開催される評議員会終了時までの2年間で、理事会を構成し、法人の業務を執行します。選任後の理事会で渡久地理事が、引続き理事長に選任されました。

幼児教育の無償化
具体化に向けた国の方針
ゆんたく都島 Vol.30(2019.3)

幼児期は、能力開発、身体育成など生涯にわたる人格形成の基礎を培う極めて大切な時期です。この時期における家庭での役割とともに、幼児教育・保育の役割が重要です。

幼保連携型認定こども園都島児童センターが竣工1周年を迎え、当法人が、平成26年12月に、当時の下村博文文部科学大臣をお迎えした講演会で、幼児教育の大切さを力説されました。

大臣は「教育の中で、もっとも成果や効果が上がるのは3歳・4歳・5歳の幼児教育である。幼児のうちにきちんとした教育をすることが大きく社会に貢献することに繋がる。今まで以上に、保育園・幼稚園・認定こども園に対する支援を積極的に、そして手厚くすること、これは一人ひとりの子どもたちやその家庭の問題だけではなく、社会を活性化していくために、大変重要である。」

そして幼児教育の質の向上とともに無償化については、「段階的に、まず5歳児を対象に年収360万円以下の家庭の子どもの無償化を始める。そして2020年までに、全ての保育園・幼稚園・認定こども園の3歳・4歳・5歳児の子どもたちの負担を無償にして、安心して子どもを預けられるようにしたい。」と述べられました。

その後、国は平成26年度から毎年、幼児教育の無償化を段階的に実施してきました。

幼児教育の無償化は、教育費への支援を求める子育て世代への負担軽減を図る重要な少子化対策の一つでもあり、また質の高い幼児教育の機会を保障するためにも重要です。このため昨年12月、幼児教育の無償化を加速する方針が定められ、現在、具体的な実施に向け国会に「子ども・子育て支援法改正法案」が提出されています。

国の無償化制度

2019年10月からの実施

各自治体では、無償化の取組みが進められていますが、大阪市では平成28年度から5歳児、平成29年度から4歳児を対象に、幼保連携型認定こども園の保育料(教育時間)を無料、保育園については世帯の所得等に応じ教育費相当額(約50%)を無料としています。来年度から3歳児が対象となる予定です。

●3歳~5歳までの子どもたちの利用料を無償化

食材料費は従来通り保護者が負担

国の方針に示されている概要の中から、当法人の幼保連携型認定こども園・保育園に関連する事項を説明します。

国の制度では、2019年10月から、当法人の各園を利用する3歳から5歳までの全ての利用料が無償化されます。しかし、これまで保護者から実費で徴収されている費用(日用品・文具等、行事参加費用、食材料費)については無償化の対象外となっています。

食材料費(副食費)はこれまでも基本的に実費徴収または保育料の一部として、保護者にご負担いただいており、10月からの取扱いは次のとおりとなります。

現在、幼保連携型認定こども園の1号認定の子どもは主食費・副食費とも実費徴収、幼保連携型認定こども園・保育園の2号認定の子ども(3歳~5歳)は、主食費は実費徴収、副食費は保護者負担として保育料の中に含まれて徴収されています。10月からの無償化に伴い、1号・2号認定とも主食費・副食費は各園からの徴収となります。なお、年収360万円未満の世帯の副食費は免除となります。

●0歳~2歳は

0歳~2歳の子どもたちの利用料については、住民税非課税世帯を対象として無償化となります。なお主食費・副食費については、現行の取扱となり変更はありません。

●就学前の障がい児の発達支援

こども発達サポートステーションそれいゆの、発達支援を利用する3歳~5歳の子どもたちの利用料が無償化されます。また、幼保連携型認定こども園・保育園と両方を利用する場合、双方とも無償化の対象となります。

なお、0歳~2歳児の住民税非課税世帯は、既に無償となっております。

幼児教育の無償化に伴い、2019年4月からの取扱、10月からのそれぞれ具体的な取扱については、関係機関からの通知等詳細がわかり次第、各園からお知らせすることにしております。

 

平成30年度から

処遇改善手当Ⅱを支給

幼保連携型認定こども園・保育園に勤務する全ての職員に、処遇改善等加算Ⅰの給付費により、毎月、定額の処遇改善手当Ⅰを支給していますが、平成30年度から処遇改善手当Ⅱの支給を開始しました。

この処遇改善手当Ⅱは、保育の技能・経験を積み、各園のリーダー的な役割を果たしている職員が対象となり、処遇改善等加算Ⅱの給付費から支給されます。

処遇改善等加算Ⅱは、各園の利用定員、平成30年度各月平均の年齢別児童数及び各種加算の適用状況により、園毎に加算対象人数の基礎となる職員数が算定されます。これをもとに、副主任など中堅職員の人数、職務分野別の若手リーダーなどの人数が算定され、各園に加算される給付費総額が定まるのです。

各園では、職員の皆さんの経験や園での役割などを踏まえ、平成30年度の支給の対象となる職員の皆さんを指定したところです。そして中堅職員である副主任保育士・専門リーダー等の職員に月額4万円を支給するとともに、概ね3年以上の職員に対し、経験年数・技能に応じて、月額1万円~3万5千円支給することとしました。

あわせて支給対象者には、より資質の向上及び能力の向上のため、法人の研修センターが実施したキャリアアップ研修を受講していただいたところです。

このように処遇改善手当Ⅱは、毎年度の給付額をもとに支給されるもので、年度ごとに各園の支給の対象となる職員及び人数、手当の額は変更することがあります。

法令と業務(ルールと仕事)
~私たちが遵守すべきもの~
ゆんたく都島 Vol.29(2018.9)

私たちの社会福祉法人都島友の会は、社会福祉法人の根拠法である「社会福祉法」の規定に基づき運営されています。

昨年4月に改正社会福祉法が施行されましたが、新しい定款・定款細則に沿い、当法人は、議決機関である「評議員会」、業務執行の決定機関である「理事会」、法人の業務監査及び会計監査を行う「監事」のもと、決定された各施設の事業が進められています

また定款細則に基づいて、責任の明確化と業務処理の円滑化を図るため、理事長、常務理事、施設長等の「職務権限規程」が定められました。理事長は法人を代表し業務を執行するとともに、日常業務として理事会が定める専決事項を執行しています

社会福祉法人は「社会福祉法人会計基準」に従い、会計処理を行うことが義務づけられています。経理事務は本部事務局が統括していますが、当法人では、この基準に沿い適切な経理事務を行うとともに、支払資金の収支の状況、経営成績及び財政状態を適正に把握するため「経理規程」を定めています。改正社会福祉法及び新定款の内容を踏まえ、規程を改正しましたが、現在、13章80カ条からなる重要な規程となっています。

このように、法人の業務を進めていくにあたっては、様々な法律・省令などに準拠して当法人の規則・規程が定められています。新たな法令の制定や改正、事業の追加等があれば、法人の定款・規程等も理事会の承認を得て改正されることになります。最近の改正を見てみましょう。

就業規則の一部改正

職員の皆さんの就業に関する事項を定めた「就業規則」がありますが、育児・介護休業法の改正を受け、平成29年10月と本年4月に就業規則・パートタイマー就業規則・育児休業規程・介護休業規程を一部改正しました。

 

主なものとして、介護休業の分割取得が可能になったほか、介護休暇が半日単位で取得できます。また最長2歳まで育児休業の再延長が可能となったほか、子の看護休暇が半日単位で取得できることとなりました。

また労働契約法の改正に伴い、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、申込により無期労働契約への転換されるため、パートタイマー就業規則の改正と無期転換職員就業規則を定めました。

就業規則はこの他、当法人顧問の社会保険労務士の意見をもとに、採用・休職、服務規律、懲戒等の各条項について改正追加を行いました。

 

新しい規程の整備

●虐待防止対応規程

法人各施設において、虐待防止に関するマニュアルの作成と職員への周知徹底など、利用者に対する虐待の未然防止に取り組んでいますが、新たに法人として、児童及び高齢者、障がい者に対する虐待を防止し、安全で快適な生活を送れるよう、「虐待防止対応規程」を制定しました。

虐待の種類、虐待の未然防止のため各施設長・職員が取組むこと、虐待防止委員会の設置、虐待若しくは虐待が疑われる場合の通報と事実関係の調査・判断・対応、虐待と判断した時の原因究明と再発防止策の検討、関係機関報告などの対応を定めています。

●法令等遵守に関する規程

幼保連携型認定こども園・保育所の設置者である当法人では、「子ども子育て支援法」に基づき、法令遵守責任者を選任しています。

  

さらに、法人の事業が適正に行うための基本指針、組織体制の整備、各施設長・施設長の責務を定めた「法令等遵守に関する規程」を制定しました。

●内部通報に関する規程

法人の業務運営に関する違法又は不正な行為の早期発見及び是正を図り、もって法令等遵守した業務運営の強化に資すること目的として、内部通報制度を設けました

規程では、内部通報の対象となる事項、通報窓口と方法、事実関係の調査と是正・再発防止措置のほか、通報者の保護及び責務等を定めています。

●定款の一部改正

都島桜宮保育園の増築に伴う資産の増加、公益事業として、本年5月から開始した「保育士等キャリアアップ研修事業の経営」を追加しました。

各施設の法令等

法人各施設の設置・運営にあたっても、それぞれ根拠となる法律や政省令、国からの通知等に基づいて行われています。

例えば、児童福祉施設である保育園については、児童福祉法、子ども子育て支援法及び規則・政省令、設備及び運営に関するに基準等が定められています。そして各施設では、運営規程、保育所保育指針に沿って事業が進められているのです。

幼保連携型認定こども園は、学校及び児童福祉施設ですので、児童福祉法の他、学校教育法も適用されることになります。また運営には教育・保育要領があります。

このように法人のすべて事業は、法令等に基づくとともに、評議員会・理事会で決議された事業計画や意思決定に沿って進められているのです。

法令等は、時代の要請に応じて今後も改正されます。職員の皆さんも、私たちの社会福祉法人、日常の仕事の位置付けと展開、そしてその元となるルールについて、今一度考えてみることが大切です。