幼児保育は階級による分け隔てをなくさねばならない。
子供は皆公平であるべきだ

保育料徴収の考え方
 保育料は豊かな人から高く、そうでない人から安く、スライド制にしようと決めた。
さてその基準にハタと当惑してしまった。「貴家は金持ちだから多額を、貴家は貧しいから少額だしなさいとは、プライバシーを犯すことになりますから、保母はよう言いません」というし、では「1口2円と決めて、幾口でも良いということではどうか」というと、「まるで寄付金募集のようだ」と批判があった。
 金はある人からない人に流す、という社会事業への財政的運営の思考は挫折して、従来通り「保育料2円、母の会会費30銭」に決定された。
思案していたことが戦後、「児童福祉法」が制定されて、保育所の保育料は所得と市民税を基準にして、個々に決定され、生活保護家庭は無料になり、保育料は区役所から決定通知が来ている。
 昭和6年の私の着想が戦後、行政によって生かされ実施された。所得と市民税を基準にした決め方に感心したが、此の方式は今日でも、民間では決められない問題でやはり保育料のスライド制は行政によらなければ出来ない。

「比嘉正子の生涯史」(P21)