課題研究② 遊びと学び「絵本の力」
都島桜宮保育園
都島桜宮保育園からの受賞コメント:
「保育の専門性の向上を図るため日々の保育を振り返り検証してまとめる」という日本保育協会主催の「第9回保育所保育実践研究・報告」に応募したところ、都島桜宮保育園の実践研究レポート『絵本の力』が入賞しました。
桜宮保育園では、毎日の保育の中で絵本の読み聞かせの時間を大切にしてきました。絵本の数や種類を充実させながら、1階ホールに絵本コーナーも作り、親子で絵本を楽しんでもらうスペースにし絵本の貸し出しなども行っています。そして、3年前に保護者会主催の子育て講演会で絵本研究家の加藤啓子さんと出会ったことで、絵本の楽しさ、奥深さを再発見し、職員にとって保育での『絵本』の存在がより一層強まりました。
そういった背景の中で、改めて「それぞれが絵本をどのように活用しているか?」「どういった思いで絵本を読んでいるのか?」など職員で話し合い、『絵本と子どもたちとの関わり』について日々の保育を振り返りながら、この研究レポートにまとめることで『絵本の力』を再確認する良い機会となりました。
講評:井桁蓉子
普段の保育のなかで活用されている絵本が、どのような形で子どもたちの成長発達や遊びにいかされているかに着目した研究報告です。身近なものから発見や気づきを見出す姿勢が、保育の質を高める動機づけになる可能性を感じさせられました。
たとえば、子どもたちの気持ちの反映、選択する絵本や感想から見られる個性を上手に受け止め、ダンゴ虫探しに夢中になっている3歳児にたいして、タイムリーに絵本を活用し、探すコツにつなげたり、絵本には描かれていないダンゴ虫の生態に気づくきっかけづくりになるなどの実践は素晴らしいです。絵本コーナーの活用しやすい工夫もなされているので、親子の関わりのひと時に効果が期待でき、さらに、絵本は保育の中でとかく保育者側が“読み聞かせる”姿勢になりがちなところを、多様な活用法に意味を持っていることも大切な視点といえます。良い取り組みをされているのですが、実践研究であるので主観的な感想にとどまってしまい、内容の論旨が明確に表現しきれなかったことが惜しまれます。
課題研究③ 子どもの健康・安全
「保育の質を高めるリスクマネージメント ~ヒヤリハットを共有し事故を回避する~」
都島友渕乳児保育センター 江藤治世
講評:石川 昭義
本研究は、保育園8園と児童発達支援センターを運営し、園児数が1,000名を超える大規模な法人として、事故を回避する体制をどのように構築し、情報の共有を図るかという「リスクマネージメント」に取り組んだ研究である。ヒヤリハット事例の分析は、平成24年までは各園で行っていたものを、平成25年からは法人のリスクマネジメント委員会で問題を共有し、各園から集約された事例の分析を行って事故防止に努めた経緯、特に事例報告を増やしたり職員に周知させたりすることの努力は、園の規模の大小にかかわらず他の保育所に示唆を与える取り組みと評価できる。
各園からヒヤリハット事例を収集し、ケガの種類や時間、場所等に分類してグラフにまとめ、考察を加えたことは評価できる。今後は、リスクマネージメントに係る研修等を通じて、安全対策の具体的な取り組みを行い、それがヒヤリハットの軽減にどのようにつながっていったかを検証できるように研究が継続されることを期待したい。
※いずれの講評も、社会福祉法人日本保育協会 保育科学研究所「第9回保育実践研究・報告集」より一部分を抜粋させていただきました。
※「第9回保育実践研究・報告集」は社会福祉法人日本保育協会のHP、下記サイトからダウンロードしていただけます。
*社会福祉法人日本保育協会 保育科学研究所※実践奨励賞をいただいた都島桜宮保育園の「絵本の力」、研究奨励賞をいただいた都島友渕乳児保育センター 江藤治世看護師の「保育の質を高めるリスクマネージメント ~ヒヤリハットを共有し事故を回避する~」の研究レポート、および講評は下記PDFをダウンロードしてご覧いただけます。
都島桜宮保育園 「絵本の力」【1.6MB】 |
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都島友渕乳児保育センター 江藤治世看護師 「保育の質を高めるリスクマネージメント ~ヒヤリハットを共有し事故を回避する~」【2.4MB】 |