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保育理念

創立10周年記念記録より  昭和16年3月
さて我が国は未曽有の世変に際会し、大東亜共栄圏確立に邁進しておりますが、此の目的を達する為には高度国防国家体制を軍備は勿論の事、政治・経済・教育・文化・国民生活の凡ゆる部面が国防建設の基となるものは、豊な物資と多くの人材が必要であります。此頃は人がいくらあっても足りない状態であります。故に国家は産めよ増やせよと、出生の増加と又生まれた子供が健全な育成が必要とされていますにもかかわらず我が国に於ける乳幼児の死亡率は依然として高率でありますにかかわらず、最近は都会でも農村共に人材不足をきたして子供の養育を顧みる遑がなく幼児の心身の発育に好ましからぬ影響を及ぼすおそれがあります。 人的資源の確保の見地から、結婚の奨励を幼児の保護に心身共に健全な子孫を得なければならないのに、現代社会の状態は実際、家庭を子供のみかまっておられない程、両親が産業勤労方面に動員しなければ国家の産業が立ち行かなくなっている状態で御座います。 ここに如何にしても乳幼児の保育に対して適当な方法が講ぜられなければなりません。例えば幼稚園如き、託児所如きは、正に此の目的に沿ふに最も適切な施設であると思います。 今日の幼稚園も人的資源の涵養と両親をして安心させてお仕事の能率を増進させると云ふ二つの大きな使命を持って居るのであります。農村と云わず、都会と云わず、子供のある所、働と人のある所に保育所があってこそ、国防の完璧も期せられるのであります。 子供の保育には両親が当たるのは当然で御座いますが、両親が幼児の保育を充分なし得ない様な事情にある両親に代わって、保育所の利用する事が必要となるのであります。 何れに致しましても、幼稚の保育と謂ふ事は高度国防国家の建設と謂ふ見地での重要な使命を深く認識致す次第で御座います。 紀元2600年から、創立10周年より、国家の要求に順応して自由主義時代の殻を脱ぎ捨て、保健衛生に重点を置きましてあらゆる設備を完遂致し度いと存じます。 10周年に当たりまして、當園の沿革を申述、尚、将来の計画を申し上げた次第です。

ガジュマル双葉

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