2019年末に中国で初の症例が確認された新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)。ウイルスは瞬く間に地球上に広がっていき、パンデミックを引き起こしました。3年以上の長きに渡る世界的流行は日本の社会はもとより、当法人においても、子どもたちや高齢者、職員、保護者や地域の方々にも多大な影響を与え、その間、私たちは思いもよらぬ辛い経験をし、しかしこの試練をよくぞここまで耐え抜いてきたと思います。
もちろんいまだ感染症が無くなった訳ではありません。まだまだ衛生安全管理等は継続し、しっかりと法人が関与する子どもたちや高齢者の方々を支え、守っていかねばなりません。
ただこの間、日々の業務の中、ふと心が緩む、思わず気持ちが和んで笑みがこぼれるようなこともありました。ここ最近、私の中で印象に残った、心に残ったことをほんの少しですが紹介したいと思います。
私が理事長に就任してから、毎週月曜日には前週の出来事(園児や保護者のこと、行事、会議、研修、職員、建物・設備安全管理、感染症、その他病気、入居者、利用者稼働率etc)について各園各施設からメールが届きます。
この8月の報告には、スイカ割り、地蔵盆、誕生会、園庭での果物の収穫といった子どもたちの夏の様子、公開保育での職員の様々な気づき、あるいは夏後半の保育上の確認事項、一時保育や病後児保育の利用状況、キャリアアップ研修、ひだまりカフェの盛況ぶり等々、次々と数多くの報告がメールに入ってきました。
なかでも、先日、友渕児童センターに友渕中学校の演劇部の皆さんが来園し、「オズの魔法使い」を発表してくれたとの報告がありました。その際、メンバーの中に友渕の卒園生がおり、在園していた頃、年長児の発表会で同じ「オズの魔法使い」をしたそうです。当時は先生たちが大道具、照明、音響、衣装など何から何までを準備し、台本はひらがなで一言一言伝達してもらって覚えたとか。それが今では、舞台づくりから配役、演出にいたるまで全てを自分たちで準備し作り上げ、そのてきぱきと動く姿に、往時を知る職員たちは、立派に成長したその姿に、思わず胸を熱くしたとメールにありました。まさに保育士冥利に尽きるエピソード、その報告に私も思わずジンとしてしまいました。
最近の私たちの悩みの一つは運動会の練習場所の確保です。子どもたちの声、太鼓や楽器の音、音の感じ方は人それぞれ違います。ある方にとっては子どもたちの声が微笑ましいものだとしても、別の人にとっては耐えがたい苦痛と感じているかもしれません。とはいえ、子どもたちの声や音をゼロにするのはとても難しいことです。近年私たちは運動会の練習場をはじめ、近隣の方々の理解を得ながら円滑な園の運営をすることに努力を払ってきました。建物の遮音対策などハード面の配慮はもちろんですが、何よりも大切なのは地域の方々との交流。例えば園の行事にボランティアとして参加していただいたり、園児が地域の行事に参加したり。地域の方がより園に対して親近感を抱いてもらえるように、そして『みんなで子育てを行なっている』との意識を共有できるようにしていくことが何よりも肝要なことなのでは︱、と思います。おかげさまで私たち法人は都島の地に90有余年。3世代4世代に渡りつながりを持つ住民の方々も多数おられます。これまで練習場に使わせていただけたグラウンドが使用できなくなった今年、地域の有志の方のお力でなんとか確保できることになったとの有難いメールも受け取りました。あるいは地域の高齢者の方々が中学校のグラウンドの隅でされているジャガイモ作り。そこに園児たちがジャガイモを掘る貴重な体験をさせていただいたとの嬉しい報告も︱。本当に地域の皆様には感謝感激です。
今年も各園各施設で地域の方のご指導のもとで、夏野菜、果物を収穫することできました。きゅうり、ナス、トマト、じゃがいも、イチゴ、イチジク、スイカ、ブドウ等、道行く人たちが足を止めて「これはいいナァ!」と笑顔で通って行かれます。
高齢者施設ではボランティアグループによるフラダンスやマジックショー、ハーモニカ、ウクレレ合奏、紅白に分かれてのカラオケ大会があったと︱。入居者利用者の皆さんの歓声、美声、楽しげな笑顔が浮かんでまいります。
学童保育は、夏休み中、1年から6年生までの共同生活、その体験からの学びは大きい。その中で今年計画したのは〝ニフレルで遊ぼう!”〝ニフレル”ってどこ?万博公園のことらしいです。電車に乗っての往復、会場内でのマナーやルール、熱中症対策の心得も班ごとに確認し合い出発。触れ合いが楽しい動物園・水族館でキツネザルに触れ、孔雀が羽を広げた瞬間に感激し、岡本太郎の太陽の塔の大きさ、迫力に驚いたこと…。帰りには「バイバイ、岡本太郎」と手を振る姿に職員たちは思わずニッコリ。 〝してやったり!”との思いだったかもしれません。
コロナ禍で開催出来なかった夏まつり、地域の子どもたちや高齢者、ご家族も多く参加されていました。食べ物、飲み物、ゲーム、全てチケット100円ですぐさま完売でした。職員も大変でしたが、久しぶりの大勢のお客様に楽しそうでした。
保護者参加、参観行事が復活、乳児保育の参観では、両親共の参加数が多く、職員の様々な工夫で、家とは違った我が子の遊ぶ姿を見て、保護者の方は安心と期待に胸ふくらませた1日を過ごされたようです。
各施設、ようやく少しずつ日常を取り戻しつつある報告を受ける昨今、長い間、緊張を強いられた私の心にもほんの少しあたたかなものが流れてまいりました。再開した日常の暮らし、その詳細は各園各施設、後日、職員の手づくりの〝ミニゆんたく”を特別配布します。楽しみにお待ちください。
月日が経つのも早いもので今年はもう創立92年目。以前『90周年記念誌』をお渡しした卒園生から突然、「比嘉正子を朝ドラにする会」を勝手に立ち上げたとの連絡がー。その卒園生は「私の会社を日本で1番にしたいと思っています」とあっけらかんと語る若き女性実業家。彼女の話を聞いていると、比嘉正子の生涯を朝ドラにすること、今にも易々と実現しそうな勢いで、思わずこちらも引き込まれてしまいました。一方、昨年来から元福祉新聞に関係していた女性ライターが「日本の消費者運動の生みの親」比嘉正子を本にまとめたいと熱心に取材、ようやく原稿が出来上がってきた時でした。(11月末には発行予定です。皆様、是非お買い求めを^^♪)
これはすごい!女性同士のステキなマッチングに私の胸は高鳴り、「よし決めた!当法人95周年に向かって、これを実現しよう」エネルギー溢れる若き二人に触発され、80歳を目の前にした私は、嬉しい、楽しい、わくわく感で、期待に今、心躍らせています。この紹介は次回。皆様、お楽しみにー!
2023.9