
AIって、ほんの小さなチップに膨大な情報が入っているのですね。
この数年、その技術は劇的に進化しています。
AIは人間に近い、場合によれば人間の数倍もの知能をプログラムに組み込まれ、便利さを提供しています。しかし人間は一人ひとり生まれながらに独自性を持っていて、育まれる経験、環境によって違う良さがあると思います。
私たちの保育現場、高齢施設においてもAIを一部とするICT化がどんどん取り入れられていますが、職員が働く環境作りであったり、手間を大幅に省くことができ、業務の効率化が進み、労働時間、休憩時間が確保できるようになりました。
通信技術の進歩により、今よりプライベートの時間が増えて人間関係のつながりが深くなるでしょうか。対人関係の競争が少なくなり、今以上に優しさ、人間性を大切にされるでしょうか。社会性、道徳性、善悪を判断する力を育むことができるでしょうか。
AIの目覚ましい進歩に助けられながらも、それとは置き換われない一人ひとりの独自性が失われないだろうか…老婆心ながら考えます。
私は70数年前に手塚治虫先生の「鉄腕アトム」に出会いました。あの心優しいロボット「アトム」に憧れたものです。AIが導入されることで「アトム」が出現するでしょうか。
当法人が導入している通信技術の一部を紹介しますと、保育施設で約20年以上前からICTシステムを導入し業務効率の改善を図っています。
保育書類の内容も都度見直すことで少しでも無駄を省き必要事項の集約ができるように努めているところです。書類だけでなく園児の登降園時間、職員の出退勤などの管理も同じシステムを使っています。
今年度からは毎月の「おたより」を紙面に印刷する作業からメール配信に切り替えたことで職員のおたよりを折る→園児のカバンに入れる時間を削減し対面時間をより増やせ、またペーパーレスなど環境面にも良いことを実感しています。
近年では卒園アルバムのデジタル化、LINEやInstagramなどのSNSを導入することで広報活動が大きく広がりました。
高齢施設では10年以上前から介護機器走行リフトを導入し利用者のリスク軽減と職員の腰痛予防にも役立っています。
食事の場面でもタブレット端末を活用することで、利用者の方を見守る場所での記録管理が可能となり、利用者と接する機会が増加し食事介助にゆとりを持つことができました。
令和になると浴室移動機器を導入することで職員三人介助から一人介助への移行が可能となりました。
職員労力の軽減は大切なことですが、多種の通信技術の導入は事務的、労働力軽減の補助の一部を担ってくれるものだと信じたいです。

人間関係の中でしか築くことができない人との出会いや触れ合いが小動物、植物、食物、自然の営みへの優しさに繋がり、一人ひとりの心を育んでいく環境を大切にしていくために、人の存在と進化を続ける多くの技術が共存できれば、なお、すばらしいでしょう。そんな未来を大切にしていきましょう。
2025.9