新年のあいさつ

平成27年1月6日

新年あけましておめでとうございます。

この年末年始にかけてインフルエンザが猛威をふるい、救急を要する休日診療や特定病院では2時間、3時間待ちの状況とのことでしたが、皆さん、いかがでしたでしょうか。とにもかくにも皆様方にはつつがなく無事新年を迎えられたこと、心よりお喜び申し上げます。

さて昨年の日本は、集中豪雨によるがけ崩れ、季節はずれの台風、竜巻、高潮、各地に起こった強い地震、小笠原諸島の噴火による島の拡大、御嶽山噴火、阿蘇山をはじめ全国の火山が活発化など、異常気象や災害が続き、大勢の方々が犠牲になられたという不幸な出来事もありました。さらに年末年始のこの大雪も大変でした。何やら人間の力では如何ともし難い大自然の力を、あの東北の大震災のあと、再度まざまざと思い知らされた一年であったような気も致します。

しかし、そのような大変な中にも明るいニュースも数多く、特に若者達の頑張りが目を引きました。テニスの錦織圭(にしこりけい)くん、フィギュアスケートの羽生結弦(はにゅうゆづる)くん、スキージャンプの葛西紀明(かさいのりあき)さん、彼は42才、若者ではなくまさに中年の星、レジェンドでしたね。あと体操や卓球、サッカーなど、スポーツのアスリート達の活躍に胸躍り、元気づけられもしました。

国政の方といえば、12月の総選挙で自民党圧勝となり、安倍政権はしばらく安定が続く事でしょう。

世界に視点を移せば、宗教、民族、思想の違いで人間同士の争いが続いています。アメリカでシェールガスの本格稼働が起ころうとする時期、現状の世界のエネルギーの大元である原油が突然安く、暴落することも起こっています。石油が安くなると、日本では資源が安く一途きは生活も楽になり、良いことだと思われるかもしれませんが、世界的に豊かだった国が不況に陥ったり、バランスがとれないシーソーゲームが起きてきます。世界的に大きな問題が起き、争いが大きくなりそうです。このままだと人間が、動物たちが、自然全体が大きな渦に巻き込まれ、今迄築き上げ造り上げてきた全てが壊れる国が出てくるかもしれません。何も起きませんようにと、祈るばかりです。

日本も7~80年前、世界を相手に大戦争をするという大きな出来事がありました。映画やテレビ、小説、色々なドラマの中にも描かれていますが、当時の人々の生活は本当に悲惨で、食べ物、衣類、住む所にも事欠く、本当に難民状態だったようです。本部の2Fに上がる階段の壁面に掛けられた焼け野原の都島の写真がその断面をよく伝えています。今日の私たちが想像もできない状況下で人々は生活していたのです。

しかし日本人は本当にすばらしいです。先人たちは廃墟となった中で、つらい事、悲しい事、苦しい事があった中でも、戦後、懸命に頑張ってこられました。誰もが自分の可能性にチャレンジできる、誰もが努力し頑張れば豊かになれる自由で民主的な社会、戦争や禍のない国家の建設を目指して、日本人は先人たちは懸命に走り、頑張ってくださいました。その力があったからこそ今日の私たち、私たちの社会があります。(本当にあらためて感謝申し上げます)。

今年は、終戦70年になります。多くの方々が犠牲になられた中で今日があり、今は何をするにも自由があります。お人を傷つけないよう、プライバシーを守り相手を尊重する事が大切です。確かにどのような時代であっても、全てに満足できる事はなく不満も一杯ありましょうが、しかし現在は本当に恵まれていると思います。

私たち都島友の会も、昭和6年(1931年)にはじまり、戦前、戦中、戦後と、一貫して子どもの育ち、育ちの環境にたずさわり、本年3月1日で、84年目を迎えようとしています。

この友の会の長い歴史、その一部にこうして関わらせて頂いている中で、ふと思うことがあります。振り返る事があります。

現在でも世界中の何処かで、食べ物、住む所、着る物等がない国の子ども達が数多くおります。いや世界的に見れば困窮し、食べ物もない住むところもない、重篤な病に侵されば薬もなく、ただ死を待つばかりの子どもたちの方がはるかに多いのです。皆さんには、想像もつかないでしょう。そしてそのような子どもたちをつくってきた大きな原因は絶えることのない戦争です。地球の何処かで今でも戦争が起きているのです。日本でもかつて70年前に同じようなことがあったのです。戦禍の中で子どもを育てるのに、親達は大変だったのです。そこに手を差し延べてくことが社会福祉の原点があったのです。今年は戦後70年、日本に何があって、何を無くして、何を得たのか、皆で考えてみなくてはなりません。豊かに見えるこの日本にあって社会福祉事業は一見不分明にも見えますが、今、手を差し延べるべきは何かをしっかりと見分けましょう。

昨年は大阪市の定例の監査や第三者評価受審をし、あらためて法人や各園の理念を考える良い機会となりました。まだ3月末までに乳児センターを含む4か園と高齢施設の第三者評価受審が残っています。これは皆さん一人ひとり、ご自分の仕事を、第三者の立場から厳しい目で評価して頂くことになるので大きな振り返りになります。もちろん各園、法人全体として自分たちの仕事が社会的に何を求められ、何をすべきかを再確認できる大きな機会です。この4月からスタートを切る「子どもの子育て新制度」や認定こども園に向かっていく為にも良い振り返りになることと思います。

都島友の会の過去、現在、未来を通して、私自身としても社会福祉事業を管理させていただいている立場として、これで良かったのだろうかという事を再度深く自省し、大きく見直す一助となるものです。皆さんには大変ご苦労をお掛けしますが、ご自分が社会福祉施設に関わるなかで、改めて異なった視点から自らを見直す機会となるものですので、これをチャンスと捉え一緒に頑張りましょう。

少し話が飛びますが、昨年12月4日、突然、下村博文文部科学大臣にお越し頂きました。その際のお話では、これからの10年の間に、日本の教育制度は大きく見直され、その改革はいっそうスピードアップされていくとのことでした。

社会変動に伴った子どもがより良い教育を受けられる環境づくり、豊かになればなるほど親の所得による子どもの格差は深刻になってくる格差問題・・・。さらには少子高齢化社会がもたらす年金医療、介護、子育て・・・、日本の根幹を揺るがす深刻な難問にあって教育制度改革がいかに重大な問題か、解決すべき事の重大さ、日本人として育ってほしい人間性など、下村文科大臣には本当に貴重なお話をして頂きました。今日ここでこれ以上お話はしませんが、後日レポートに起こし研修会をしたいと思います。ぜひ楽しみにしておいて下さい。

また今年度は、昨年に引き続き法人内研修を数多く行い、過去に大いに学び、新しいものを貪欲に吸収し、一人ひとり自らのスキルや知識を高め、職員全体、法人そのものがさらにステップアップできるよう、皆で力を合わせて進めてまいりましょう。そしてその為には昨年も申し上げましたように、まず皆さんが健康で楽しくなければなりません。

いかに楽しく仕事ができるかを考えましょう。今年の私からの課題は働く時間を上手に作って下さいということです。自らの勤務内容をしっかりと考え、8時間内で仕事をおさめてご自分のゆとりの時間を作りましょう。そしてゆとり時間をご自分のために有効に使いましょう。ゆとり時間の有意義な使い方をレポートにまとめ発表しましょう。

最後になりましたが皆さん一人ひとりにとって、実り多き素晴らしい一年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。そして、一層の御支援、御協力をお願いいたしまして新年の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。

2015.1.8