コロナ再び急増 通天閣や太陽の塔にサインが灯った

~With コロナ、ポストコロナの時代の中で~

新型コロナウイルスの感染が中国の武漢市で確認されたのは昨年の12月のこと。それは当初隣国とはいえ、どこかまだ遠くに起こった出来事のようでした。しかし武漢から瞬く間に中国全土に広がり、突然予想もせぬ姿で私たちの前に現れました。

コロナウイルスとは発熱や上気道症状を引き起こすウイルスで、人に感染するものはこれまで6種類あり、そのうちの2つは中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの重症化傾向のある疾患の原因ウイルス、残り4種類のウイルスは、一般の風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占めます。(※国立感染症研究所)

そして今回出現したのが、人に感染する7つ目の『COVID|19』と言われる新型コロナウイルスです。

日本で最初に感染確認されたのが1月16日。やがてダイヤモンド・プリンセス号での大量感染に始まり、誰もがここまで影響が出ることを予期していなかった気が致します(私もそうでした)。

東京や大阪でクラスター感染が起こり、感染者数は急増、2月27日、安倍晋三首相が新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に全国全ての小中高校と特別支援学校について3月2日から春休みに入るまで臨時休校するよう要請。さらに4月7日には東京や大阪で爆発的な感染拡大や医療の崩壊を防ぐために外出自粛などの要請を徹底する特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令され、4月16日には全都道府県に拡大しました。まさに未曽有の事態です。

感染の拡大や医療の崩壊を防ぐため、「外出の自粛」「イベント開催の自粛」可能な限り在宅勤務(テレワーク)、時差出勤、営業自粛、移動制限…。三つの密(密閉空間・密集場所・密接場面)を避ける暮らしのあり方は、これまでの生活を一変させました。今まで普通にできていたことが、今はできません。そして世界全体が重苦しいムードに包まれていきます。多くの国でロックダウンや外出自粛要請が出され、世界の人々は自由を失いました。東京オリンピックの延期をはじめ、日々行われていた文化行事や音楽活動が延期や中止となり、小中高、大学といった教育機関、そして多くの施設が一時閉館になり、保育施設の利用についても、家庭での対応可能な場合には可能な限り、利用の自粛要請が出ました。

しかし、医療従事者、警察や消防といった社会機能の基本機関と同様、私たち法人の各施設や、そこで働く職員は、社会経済活動の維持のため、迫りくる感染拡大のニュースを耳に、不安を押し殺し奮闘、子どもたちや高齢者、ともに働く仲間を守り、その中で平時の日常を保つために日々必死に仕事をしてきました。まさに、社会福祉、社会福祉法人としての社会的役割や使命、その重要性に光が当たり、その存在意義の重さが顕わになった瞬間でした。

5月25日、緊急事態宣言が解除されました。学校では分散登校が開始となり、企業や事業所も少しずつ活動を再開し、法人各園、各施設にも子どもたちが戻り、高齢者の皆様の姿が見えるようなって徐々に日常生活を取り戻すように見えました。しかし7月には再び感染者が急激に拡大、大阪では8月に入ると感染者数が急増、重症者も「第1波」のピークを上回り、過去最多となりました(8月16日現在)。猛暑と共に気が抜けない辛い日々が続きます。

現在の感染拡大がどのようになるか分かりませんが、ワクチンや特効薬といった予防、治療法が確立されていない現状において、今後も第2波、第3波が来る可能性は常にあり、しかも感染を防ぎながら経済を回していくという綱渡的な事態の中で、コロナと共にある社会、共存していく体制を続けねばならないと思います。

今回の新型コロナウイルスに奪われたものは数多くありますが、得たもの学んだものもあります。その一つは、ただ恐れるのではなく、「正しく恐れる」ということです。誰もが経験したことのない状況です。こういう時には世の中が感情論に満ち、フェイクニュースやデマに気をつけなければなりません。そういったものに騙されることなく、出来るだけ一次情報(ソースとなる論文、オフィシャルサイトの情報など)を探し、それを読むことで真実の情報を得るように努力することが重要です。例えば今回、厚生労働省ではインターネットで新型コロナの詳細なデータを公表しています。正しい情報を知り、伝える、という役割・学びを覚えていきましょう。そういう作業をしていると何が本質かが見えてきます。私たちも厚生労働省からの通達を軸に、対策をし、判断の基準としています。そのような正しい知識を得、理解していくこと、それが結果として、子どもたちや利用者、そして職員や仲間を守ることになります。

あるいはまた今回のことで自らの生活や仕事、世の中の在り方をあらためて振り返る機会を得たように感じます。新型コロナウイルスが流行する前(プレコロナ)と後(ポストコロナ)では、世界はどのように変化するのでしょうか? それに伴い私たちはこれからどのように考え行動すればいいのでしょうか? 新型コロナウイルスの出現によって世界の環境が大きく変わりました。例えば今まで当たり前のように会ったり集ったりしていたことがとても難しくなりました。私たちの関係する福祉、保育、教育分野でも大きな変化があるでしょう。人と人とのコミュニケーション、その重み、その意味も違ってくるのでないかと思います。新しい保育や介護のあり方も生まれ、あるいは今までやってきた私たちの保育や介護の大切さがいっそう見直されるのかもしれません。これからどう自分を生かすかを考える契機にもなるでしょうし、何を大切にすべきかを考える時なのかもしれません。皆さんもポストコロナの大きく変わった世界を想像してみてください。その中で自分はどのように生きていくのかを考えるのは、まさに今なのです。

2020.9.9