地域を支え、地域とともに生きる

都島とのご縁

私は大阪市職員として36年間のうち32年間を、大阪市の広報(PR)・イベント関係の業務と、病院経営の業務に従事した。行政職の公務員としては異色の経歴である。しかし、常に新しい事業との巡り合わせと、チャレンジであった。

平成25年5月から、法人本部事務局にお世話になっている。都島とのご縁は、平成2年から、市立総合医療センターの建設に2年6か月、管理運営に延べ6年、計8年6か月。そして都島区役所に4年。この間、都島の街を知り、歴史を知り、多くの地域の皆さんと知己を得た。36年間の3分の1、12年6か月を都島の地で仕事をしてきたことが、地域の社会福祉を支える都島友の会に繋がったのではないかと思っている。

都島友の会の印象

都島友の会に就職して8年近くなるが、当初より感心していることは、90年になる永い歴史と伝統の上に立ち、地域の皆さんの信頼をいただきながら、都島の社会福祉をリードしてきていることに尽きる。

それは、都島友の会の事業を具体化する職員の熱意と、スキルの高さから来るものであると思うのである。各園が平成27年から毎年、提出した保育実践研究・報告は、日本保育協会から奨励研究賞や奨励賞を受賞するなど、高い評価を受けている。また保育者としての知識・技量だけでなく、日々の研鑽と周到な準備を怠らないことは、ふれあい運動会・生活発表会等での子どもたちの演技に対する保護者の皆さんの感動を見ていると、よく理解できる。

もうひとつ、都島友の会は社会福祉法人としての使命を果たすべく、それぞれの時代の要請に応じて先進的な取組みを行ってきたことである。近年では、比嘉正子地域貢献事業研修センター「ひまわりネット」の開設がその例である。

社会環境が大きく変化した、福祉ニーズが多様化・複雑化したといわれるが、その実態を肌で感じるのが現場である。目の前のことにいかに対応していくのか、情勢の変化を受け止め、どのように対応するのが適切なのかが常に求められている。都島友の会が持つ経験とノウハウにより、行政にはない役割を果たしている。このことがより一層地域の信頼をいただき、結びつきを強くしていると確信している。

法人本部事務局での業務

都島友の会は、児童施設(13)・高齢者施設(2)ほか、収益事業・独自事業を運営する大規模な社会福祉法人であり、本部事務局が設置されている。理事会の意思決定に基づき、法人全体や各事業の計画的な進行管理を行っている。経営課題や事業運営上の課題についての情報を収集・分析し、理事会・評議員会などに諮る経営企画業務と、各施設の経理・給与・社会保険事務などを集約処理する総務事務を担っている。

私は、永年の病院経営の経験はあるが、社会福祉について行政的な知識は持っているものの、実践については素人である。本部職員や各施設長のお助けをいただきながら、何とか実務を遂行してきた。

8年間の中、平成27年4月に子ども子育て支援新制度がスタート、介護保険法の改正、社会福祉法人新会計経理事務への移行、また平成29年4月には改正社会福祉法の施行などがあり、次々と変革の嵐が吹いていた。

このことが、私にとっては幸いなことであった。これまでの事業内容とともに、新た制度について、一から勉強するまたとないチャンスであったように思う。子ども子育て支援新制度では、幼保連携型認定こども園への移行準備をはじめ、保育園ほか児童施設の運営規程を整備したことが、以後の業務理解に寄与したと思う。

改正福祉法の施行は、社会福祉法人のあり方に大きな変化をもたらすこととなった。

都島友の会でも、法人の憲法ともいうべき新定款の作成・認可とともに、関連して評議員選任解任委員会規則など新規程の整備、経理規程の改正等を行った。また新定款に基づく新評議員、新役員の選任という体制づくりがなされたところである。

このような新制度や改革に関与することを通じて、社会福祉の実践について、少しは理解が深まったのではないかと考える。

90周年に向けて施設整備

法人の各施設は、経年劣化のため建替えや環境向上のためを整備が、ここ10年の課題であった。都島児童センターが平成25年9月に建替新築が竣工した後、平成30年3月に桜宮児童センターの増築及び大改修工事、6月に友渕児童センター園舎改修工事が完了した。

ひがみや児童センター・こども発達サポートステーションそれいゆの建物は、大阪市から有償にて取得の後、平成30年度に建替新築工事に着手し、令和元年12月に完成した。令和2年4月には、都島乳児保育センターが都島児童センター近隣に移転新築。都島第二乳児保育センターは令和元年~2年度で改修工事を完了した。また特別養護老人ホームひまわりの郷では、平成30年度に施設改修及び地域交流の場としても利用していただく「カフェテリアひまわり」を設置した。

相次ぐ整備のため、事務局は申請事務、設計業者との協議、工事入札・施工管理等、毎年のごとく業務に追われたことになったが、これから10年、20年、30年と将来を見据えた子どもたちや利用者にとって、安全で快適な環境整備がなされたと考えている。

これからの都島友の会

初代理事長比嘉正子先生が創設した都島友の会は、先生の地域福祉にかける熱い思いを体現すべく、繋ぎ繋いで、ここ都島の地で地域の皆様とともに歩んできた。

近年、様々なジャンルの方が、この福祉サービスの分野に参入してきている。競争の時代、選ばれる時代となってきたともいえる。

90周年を迎えた都島友の会が引続き100周年に向け、これからも地域福祉の雄として、地域の皆様の信頼を得続けるためには、職員一人一人が福祉の心をもち、子どもたちの未来や利用者、地域の幸せ実現のため、努力を惜しんではならない。そして都島友の会ならではの福祉サービスを提供することが必要であると思う。とりわけ施設を管理する立場にあっては、率先垂範した行動をお願いするものである。

私は、縁あって都島の地で併せて20年近く仕事をさせていただいている。都島を愛する一人として及ばずながら、職員の皆様のお力添えをしてまいりたいと思う。

本部事務局長 寄瀬博光 2021.3.11